2017 Fiscal Year Research-status Report
効率的な緑視率の確保を目的とした植栽計画の目安となる設計指標の作成
| Project/Area Number |
16K18214
|
|---|
| Research Institution | Ritsumeikan University |
|---|
Principal Investigator |
藤井 健史 立命館大学, 理工学部, 助教 (50599199)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
| Keywords | 緑視率 / 植栽計画支援 / 立体角 / 可視領域 / 全方位視野 |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
外部空間において、利用者からどれだけ緑が見えているのか（＝緑視率）は、快適性向上の観点から計画上の重要なテーマであり、効率的な緑視率の確保が求められる。本研究では、どのような形状の樹木をどのような条件で配置すればどの程度の緑視率の値になるのかという、樹木の形状ならびに配置と緑視率の数理的関係を解明する。感覚的な判断に頼りがちな樹木の配置に対して、より少ない設計労力で精度よく緑視率確保を加味した植栽計画を策定できるよう、その助けとなる設計指標を提案する。
これまでに行った基礎的な考察では、樹木配置パターンを原則グリッド配置に固定した分析であったため、結果の一般性を担保することがひとつの課題であった。そこで、平成29年度は樹木のランダム配置シミュレーションによる緑視率計量に着手した。具体的には50m 四方の仮想敷地に特定の形状の樹木16 本をランダムに配置し、100通りのランダム樹木配置モデルを作成して緑視率計算を行い、樹木配置数と緑視率分布の数理的関係について考察を加えた。主な知見は以下の通り。
１．50m 角の敷地にランダムに16 本配置する場合，緑視率の平均値は96％の確率で3.28 ～ 3.79% の値を取る。２．3.5 ～ 3.62% の区間に全体の約40% のサンプルが集中しており，緑視率の期待値は3.52%である。３．緑視率の確率密度関数のおおまかな傾向としては、いずれも左に偏った分布となっており、緑視率2.5% 付近で高い確率密度を取る。
以上の研究成果は、「樹木の形状と配置が緑視率に与える影響に関する基礎的考察とランダム配置シミュレーションの試行」（藤井健史・山田悟史、第40回情報・システム・利用・技術シンポジウム論文集、pp.221-224、2017年12月）において発表した。
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
敷地形状や樹木形状は限定的であり、シミュレーション試行数もまだ不足しているものの、ランダム配置シミュレーションの導入によって樹木配置と緑視率分布の数理的関係についての統計的な知見を得られたことは、本研究が目指す一般性の高い緑地計画支援の指標の提示に向けての一定の進捗であったと考えられる。また、ランダム配置シミュレーションに基づく緑視率計量の遂行においては、これまでよりも多数のシミュレーションを行う必要があったため、より高速な緑視率計算プログラムを新たに開発した。これにより、今後は当初の予定より多くのサンプルデータの採取が可能となる見通しが立っており、展望は良好である。
|
| Strategy for Future Research Activity |
平成29年度に着手した樹木のランダム配置シミュレーションを用いた緑視率の分布様態把握および統計分析を引き続き行う。まずは、現状ではまだ100通りの計算しか行えていない樹木16本のランダム配置モデルのサンプル数を増やし、統計的な信頼性の担保に努める。続いて、樹木配置数を段階的に変化させ、それぞれの樹木配置数で同様にランダム配置モデルを生成して同様に緑視率を計算することで、樹木配置数と緑視率との数理的関係を把握する。同様に、樹木の高さや枝ぶり等の樹木形状に関するパラメータを変化させた場合のランダム樹木配置モデル、あるいは敷地形状を変化させた場合のランダム樹木配置モデルについての緑視率分布のデータを採取し、これらを総括して緑地計画上の様々な条件・シチュエーションに対応しうる指標としてまとめていく。
|
| Causes of Carryover |
次年度以降、研究計画時よりも多くのサンプルモデルの緑視率計算を行う計画としたため、高性能計算機の増設等の設備強化を行う。
|
Research Products
(2 results)
