2019 Fiscal Year Annual Research Report
The Introduction and Evolvement of Housing Hygiene Theory to Japan in Meiji Era by Mrs. Sumi OE through studying abroad in England
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16K18222
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
須崎 文代 神奈川大学, 工学部, 助教 (20735071)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 伝染病 / 救貧 / 森鴎外(林太郎) / 畳 / ガラス建具 / 便所 / 上下水 / 台所 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、前年度の研究発表予定学会が中止となったため、発表の次年度繰越を主な目的として研究期間を延長した。それに伴い、調査研究の更なる展開が可能となった。主な研究成果としては、以下の3点が挙げられる。 (1)イギリス19世紀~20世紀の都市・住宅衛生に関する動向について現地で入手した資料をもとに、コレラ、ペスト等の伝染病対策にもとづく居住環境の改良や救貧施策を伴った具体的な改善についてより深い検証を進めた。大江スミは、そうしたイギリスの実践的衛生政策のなかで、衛生技師の資格を取得し、具体的な方法論に関する知見をもって国内の住居衛生論を展開したことが明らかとなった。 (2)大江スミが訪問した欧州視察先のうち、特に衛生面の見識として重要と考えられるベルリンにおいて建築衛生に関する資料収集を行い、同時代の動向の整理を行った。それと共に、同時代のベルリンで衛生研究を行っていた森鴎外(林太郎)記念館のアーカイブにおいて専門家同士の意見交換を行い、研究状況と将来的進展の必要性について検討を行った。 (3)国内の明治・大正期における住居衛生論の展開について、『婦人衛生雑誌』の記述分析に基づく検証を深めた結果、日本特有の改善点として①畳(の不衛生さと清潔法)、②建具(在来建具の隙間風とガラス建具による採光・採暖)、③便所(汲み取り便所と汚水処理)、④台所(立働式の導入、揚板の防鼠対策等)に着目できることが導き出されたことから、特に①と②に関する具体的な動向について国内の3つの学会で研究発表を行った。 なお、本研究課題を契機とした住居衛生論に関する調査研究活動の展開として、代表者自身が所属する神奈川大学日本常民文化研究所において、共同研究「便所の歴史・民俗に関する総合的研究」(代表者・須崎文代)を新たに設置し、継続的かつ複合的視座からの研究活動を進展させることとなった(上記③に関連)。
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Research Products
(4 results)