2018 Fiscal Year Annual Research Report
Efficacy of TSPAN for gamma-secretase activity
Project/Area Number |
16K18386
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
角田 伸人 同志社大学, 生命医科学部, 助教 (50544615)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | γ-secretase |
Outline of Annual Research Achievements |
脳内において、アミロイドβタンパク質(Aβ)を産生する酵素は、細胞膜に局在する複合体タンパク質のγ-secretaseである。アルツハイマー病(AD)患者脳内では、このγ-secretaseの活性が変化し、産生するAβ分子種が異なった結果として、脳内へAβ42が蓄積すると考えている。ではどのようにしてγ-secretaseの活性が変化するのか?これまでに、γ-secretaseと同様に細胞膜に局在するtetraspanin(TSPAN)は、γ-secretaseの活性に影響を及ぼすことが知られている。またAD患者では、TSPANの発現量が変化しているという報告もある。哺乳類において、33種のTSPANが存在することが報告されている。そのため本研究では、どのTSPANがγ-secretaseの活性に影響を及ぼすのか明らかにすることを目的として実施した。迅速に入手可能であった7種類のTSPANを培養細胞に過剰発現させ、産生されるAβを生化学的に解析した。産生するAβの絶対量は、減少するTSPANと変化しないTSPANに分類できた。産生されるAβ分子種について解析した結果、TSPANを過剰発現させない場合と同様に、Aβ40とAβ42の産生比率に変化は認められなかった。アミロイド前駆体タンパク質APPもしくは、γ-secretaseの構成因子であるpresenilinに遺伝子変異を有する家族性ADでは、Aβの産生量は低下する。一方、Aβ40とAβ42の産生比率は変化する。産生比率の変化によって、脳内へのAβ蓄積が加速され、家族性ADの発症年齢は早期である。本研究結果より、TSPANの発現に伴いAβ産生量を低下させることで、家族性ADとはAβ分子種比率は異なるが、類似した機序によりAD発症に至るのではないかという疑問を新たに生じた結果となった。
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