2016 Fiscal Year Research-status Report
中枢神経疾患におけるヒスタミン代謝酵素の機能解明と阻害剤開発
Project/Area Number |
16K18389
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
吉川 雄朗 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (70506633)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ヒスタミン |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はヒスタミン代謝酵素であるhistamine N-methyltransferase(HNMT)が、脳内ヒスタミン濃度の調節、およびヒスタミン神経系の制御機構として極めて重要であることを明らかにした。これまでの報告により、脳内ヒスタミン濃度異常とアルツハイマー病やパーキンソン病など中枢神経疾患との関連が報告されていることから、本研究では中枢神経疾患モデル動物においてヒスタミン濃度を変化させ、その効果を検討する。またHNMTの新規阻害剤を見出すことにより、中枢神経疾患の治療に応用したいと考えている。 今年度は代表的なパーキンソン病モデルマウスである6OHDA投与マウスを用いて解析を行った。野生型マウスおよびHNMTノックアウト(KO)マウスに6OHDAを投与し、その表現型を解析した。アポモルフィンによるrotational behaviorを評価したところ、野生型マウスと比較しKOマウスでは、回転速度が異なっていることが明らかとなった。そのため、KOマウスにおける脳内ヒスタミン濃度上昇はパーキンソン病の症状に寄与している可能性が考えられた。この原因としてKOマウスではドパミン代謝酵素の一つであるモノアミン酸化酵素の発現量が増加していることが寄与している可能性が考えられた。 また、HNMT阻害剤のスクリーニングを実施した。発光量を指標にした一次スクリーニングを行った後、更にHPLCを用いて二次スクリーニングを行った。その結果、いくつかの候補化合物を得ることが出来、さらに二種類の化合物は既存薬よりも高い阻害活性を示す事が明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では代表的なパーキンソン病モデルマウスである6OHDA投与マウスを用いて解析を行った。野生型マウスおよびHNMTノックアウト(KO)マウスに6OHDAを投与し、その表現型を解析した。アポモルフィンによるrotational behaviorを評価したところ、野生型マウスと比較しKOマウスでは、回転速度が有意に上昇していることが明らかとなった。そのため、KOマウスにおける脳内ヒスタミン濃度上昇はパーキンソン病の症状を増悪させていると考えられた。この原因としてKOマウスではドパミン代謝酵素の一つであるモノアミン酸化酵素の発現量が増加していることが寄与している可能性が考えられた。 また、HNMT阻害剤のスクリーニングを実施した。発光量を指標にした一次スクリーニングを行った後、更にHPLCを用いて二次スクリーニングを行った。その結果、いくつかの候補化合物を得ることが出来、さらに二種類の化合物は既存薬よりも高い阻害活性を示す事が明らかとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度はアルツハイマー病モデルマウスを用いて、アルツハイマー病におけるヒスタミン神経系およびHNMTの役割について検討を行う。アルツハイマー病モデルマウスであるAPP-KIマウスとHNMT KOマウスとを交配させて、脳内ヒスタミン濃度が上昇したアルツハイマー病モデルマウスを得る。このマウスと通常のアルツハイマー病モデルマウスとを用いて行動学的実験を行い、両者を比較検討する。 HNMT阻害剤については、HNMTと類似の酵素活性を持つ酵素に対して阻害効果を有するかどうかを検討する。HNMT 特異的な阻害効果を持った化合物に対して、in vivoの系で血液脳関門透過性やヒスタミン濃度への寄与を検討する。
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