2016 Fiscal Year Research-status Report
シロイヌナズナにおける新奇ストリゴラクトン生合成遺伝子の機能解析
Project/Area Number |
16K18560
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
米山 香織 宇都宮大学, 学内共同利用施設等, 学振特別研究員 (20769997)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ストリゴラクトン / 地上部枝分れ抑制ホルモン / LBO |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、植物の枝分れ抑制ホルモンであるストリゴラクトン(SL)の生合成経路の解明を目的として行っている。SL生合成酵素MAX1の機能に関しては、カーラクトン(CL)の水酸化体から新奇SL化合物への変換を発見した。MAX1酵素の下流で働くと考えられているLBO酵素の機能に関して、カーラクトン産メチルから水酸化カーラクトン酸メチル(MeCLA)への変換を発見した。更に、水酸化CLおよび水酸化MeCLAは植物内生として存在していることを明らかにした。これらの研究成果は、SL生合成経路の全貌の解明に重要な知見を提供することとなった。研究成果は、国内学会に限らず、国際学会においても積極的に発表を行った。LBO酵素の研究成果に関しては、クイーンズランド大学との共同研究としてPNASに掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
シロイヌナズナのストリゴラクトン生合成遺伝子MAX1は、カーラクトン(CL)からカーラクトン酸(CLA)への変換を触媒することを既に報告している。その後、CLに水酸基が導入された5つのOH-CLを基質として酵素機能を調べたところ、4-OH-CLのみがSLの構造に特徴的な97のフラグメントをもつ代謝物を生成することがわかった。また、4-OH-CLは、シロイヌナズナMAX1欠損変異体に蓄積していることも明らかにした。 シロイヌナズナの新奇SL生合成遺伝子LBOは、カーラクトン酸メチル(MeCLA)を基質とし、[MeCLA+16 Da]という代謝物を2-オキソグルタル酸依存的に生成することをまず明らかにした。代謝実験を繰り返し、NMRを使った構造決定をめざしたが、構造的に不安定であるため構造解析にまでいたらなかった。そこで、重水素ラベル体を使った投与実験により間接的に構造決定をめざしたところ、[MeCLA+16 Da]は、hydroxyMeCLAであることが明らかとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
LBOは、MeCLAを基質にしてhydroxyMeCLAを生成することが明らかになったが、このhydroxyMeCLAは構造的に不安定であるため、合成が不可能である。そのため、当初予定していた、LBO代謝物を使った地上部枝分れ抑制活性試験などを行うことができない。そこで、LBO欠損変異体のSL内生量を精査することにより、MeCLA以外の基質候補物質を探す。その基質を使ってLBOの代謝実験を行い代謝物の構造決定をめざす。また、LBO遺伝子を組み込んだアグロバクテリウムを使ってNicothiana bentamianaの葉に一過的にLBOを過剰発現させ、その機能を調べる。
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Causes of Carryover |
共同研究先であるクイーンズランド大学(オーストラリア)に訪問予定であったが、3月に開催された国際ストリゴラクトン学会で研究打合せを行うことができたためオーストラリア訪問をキャンセルした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
新たに共同研究のパートナーとなった北海道大学を訪問するなど、旅費に使用する。
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