2017 Fiscal Year Research-status Report
哺乳類の特徴である複雑な臼歯形態獲得プロセスの解明:歴史的学説の現代的検討を軸に
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16K18601
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
浅原 正和 愛知学院大学, 教養部, 講師 (20709399)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | Inhibitory cascade / 臼歯形態 / 形態進化 / 食性推定 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度においては蓄積されている画像データを利用したデータ解析を進めるとともに、国際学会(12th International Mammalogical Congress)および国内学会(日本哺乳類学会2017年度大会)等での発表でこれまでの研究成果をレビューした。一部の学会では、本研究計画が推し進めている、生物多様性の情報をデータセットとした生物学研究について、研究代表者以外の研究の事例も当該研究者とともにミニシンポを行うことで広範なレビューを行い、当該手法の普及・発展を目指した。ミニシンポの内容は学会誌に記事として掲載される予定である。また、本研究計画と関連して解き明かされつつある食肉目等における食性と臼歯形態との関連を利用した食性推定手法を化石種に応用した論文を出版した(Asahara and Takai 2017)。本手法は下顎臼歯m1、m2のサイズの比率のみを利用するもので、必要とするデータが少ないことから、完全な標本を得にくい化石種で利用しやすい手法となる。本研究は化石種の哺乳類(主に食肉目)に関して広範に利用できる有力な食性推定手法を提示することができたといえる。一方、本研究の結果は化石タヌキ類の食性が時代とともに大きく変遷していたことも示していた。この結果に関しては、未刊行ながら、本論文には研究代表者らが使っていなかった標本を用いた他の研究者からコメント論文が得られた。その情報をもとに再度解析を行ったところ、本研究の結果以上に、化石種のタヌキ類の食性が変遷していたことが示唆され、その内容が現在in pressとなっている。また、当該事業年度においてアウトリーチ活動としての一般向け講演を複数回行い、研究成果を社会・国民へと発信するとともに、双方向の科学コミュニケーションを目指した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一昨年度に論文の出版が当初の予定以上に進んでおり、計画は順調である。一方、解析に想定よりも時間を要しているが、研究遂行にあたって大きな問題ではなく、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
蓄積されているデータの解析を進めるとともに、これまでの研究のレビューを行う。データの解析に関しては、適宜解析支援ソフトウェアを利用するなどして効率化をはかる。
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Causes of Carryover |
データ解析の進展状況により標本調査の時期を繰り下げたこと、論文出版のペースが想定と変化していることにより、残額が発生した。未使用額はH30年度において標本調査、あるいは論文出版に利用する予定である。
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Research Products
(5 results)