2016 Fiscal Year Research-status Report
バイオロギングを用いたニホンウナギの摂餌イベント検出法の確立と野外への応用
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16K18742
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
板倉 光 神戸大学, 理学研究科, 特別研究員(PD) (40749040)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ニホンウナギ / Anguilla japonica / 摂餌生態 / 摂取エネルギー / 好適生息環境 / バイオロギング / バイオテレメトリー / 保全 |
Outline of Annual Research Achievements |
激減するニホンウナギ資源を保全するためには、成長期にあたる黄ウナギの生態情報を蓄積するとともに、保全の指針となる好適な生息環境について理解することが不可欠である。とくに摂餌生態に関する情報は、動物の保全上欠かせない重要な知見であり、摂餌生態の理解なしに好適な生息環境についての議論はできない。そのため、黄ウナギの摂餌場所・頻度、摂取エネルギーを生息環境毎に正確に推定することが重要である。 魚類の摂餌に関する既往研究では、胃内容物と安定同位体比の分析が主に用いられてきた。これらの方法では、大まかな水域・時刻における、黄ウナギの集団としての平均的な摂餌を推定することに留まり、個体毎のピンポイントでの摂餌場所・頻度、摂取エネルギーを連続的かつ正確に捉えることは困難であった。近年、内温性のマグロ属やカツオ類の摂餌の際の消化過程で生じる体温上昇を検出することで摂餌イベントを推定する研究が行われているが、本手法がニホンウナギを含む外温性魚類の摂餌イベント検出に有用であるかどうかは分からない。本研究の目的は、バイオロギングを使用して(1)ニホンウナギの摂餌イベントを検出する手法の有効性を検討し、(2)その技術を野外に応用することで、本種の摂餌時間・場所・頻度および摂取エネルギーなどの摂餌生態を個体レベルで長期にわたって詳細に推定することである。本年度は、(1)について研究を行った。飼育下において、腹腔内にデータロガーを装着した複数のニホンウナギに給餌を行い、摂餌前後での体温の変化を繰り返し観察した。その結果、摂餌後に体温が上昇することを確認した。一方で、摂餌後に体温が上昇しなかった個体もあり、安定した結果は得られなかった。この理由として、腹腔内におけるタグの装着位置が適切でければ摂餌に伴う温度上昇を検出できない可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、飼育下において摂餌イベントを検出する方法を確立する予定であったが、完璧に達成することができなかった。その理由として、手術後のウナギが餌を食べるのに時間がかかったこと、腹腔内のタグの装着位置が不適切であったことなどが考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
飼育実験を継続し、タグの適切な装着位置を模索することで、摂餌イベントを検出する方法を確立させる。その後、野外においてバイオテレメトリー実験を実施する予定である。
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