2016 Fiscal Year Research-status Report
生鮮食料品の家庭内消費の規定要因に関する実証的研究
Project/Area Number |
16K18764
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Research Institution | Policy Research Institute, Ministry of Agriculture, Forestry and Fisheries |
Principal Investigator |
八木 浩平 農林水産省農林水産政策研究所, その他部局等, 研究員 (50769916)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 食の外部化 / 栄養摂取 / 生鮮食料品 / 健康志向 / 生鮮野菜 / BDHQ |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、女性の社会進出や単身世帯の増加といった要因により、食の外部化が進んでいる。本研究は、①食の外部化等の食形態の変化が栄養摂取状況に及ぼす影響を検証すると共に、②自分で調理を行う内食選択の規定要因を検証して、家庭での生鮮食料品消費を促進する方策を検討することを課題としている。 まず①食形態と栄養摂取の関係に関する研究では、BDHQと呼ばれる栄養摂取状況の把握手法について、Web調査での使用許可を日本で初めて得て、アンケート調査票を作成している。 次に②生鮮食料品消費の促進策に関する研究では、共同研究者の実施したアンケート調査結果をもとに、単身世帯における内食・中食・外食頻度の規定要因に関する分析を行い、日本フードシステム学会2017年度大会で報告する。そこでは、健康志向や調理技術、子供時代の食習慣が内食頻度の増加に寄与していることを初めて確認した。 また、共同研究者の実施した別のアンケート調査結果をもとに、生鮮野菜の消費行動の規定要因について検証した。そこでは、年齢や性別といった消費者属性が「健康志向」等の「食の志向」へ影響を及ぼし、その「食の志向」が消費行動を規定するとする仮説を立て、構造方程式モデリングを用いて実証した。この研究成果については、日本農村生活学会2017年度大会で報告する予定である。 特に②生鮮食料品の促進策に関する研究では、近年の食生活のトレンドの一つである「健康志向」が食の外部化へ及ぼす影響を初めて実証しており、学術的意義が高いものと考える。また若年層の生鮮食料品消費を増加させる方策として、健康志向の啓発や、子供時代からの食生活の改善の有効性を提言している。 また生鮮野菜の消費行動に関する研究では、消費者属性と「食の志向」、消費行動との相互関係を構造方程式モデリングを用いて整理しており、生鮮野菜消費の代表的な研究となり得ると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
既述の通り、単身世帯における内食・中食・外食頻度の規定要因に関する研究と、生鮮野菜の消費行動の規定要因に関する研究を既に完了し、それぞれ学会報告を行う予定である。当初の計画では、初年度の成果は1本のみと見込んでいたため、当初の計画以上に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、食形態と栄養摂取状況の関連に関する調査票を作成し、2017年7月までにアンケート調査を実施する。その上で、中食・外食頻度や孤食頻度、欠食頻度と栄養摂取状況の関連に関する分析を行い、日本農業経済学会2017年度大会での報告を行う。また、栄養摂取状況の社会的規定要因を検証し、日本フードシステム学会2018年度大会で報告を行いたい。 この他、上述した単身世帯における内食・中食・外食頻度の規定要因に関する研究や、生鮮野菜の消費行動の規定要因に関する研究は、学会報告の後、論文として投稿する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた最大の理由は、食形態と栄養摂取状況の関連に係るWebアンケート調査の調査項目の策定に手間取り、調査を初年度中に実施できなかったためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
現在、Webアンケート調査については作成を完了し、調査会社へ参考見積もりを依頼している。今後、2017年7月にWebアンケート調査を実施し、科学技術研究費を使用する計画である。
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Research Products
(1 results)