2016 Fiscal Year Research-status Report
メタボローム解析とPK-PDモデルを活用した大黄甘草湯エキス品質評価法の開発
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16K18895
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
原田 和生 大阪大学, 薬学研究科, 講師 (50397741)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 漢方薬 / メタボローム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
様々なダイオウ,カンゾウ材料を入手し,それらを組み合わせることにより様々な成分組成の大黄甘草湯エキスを調製した.当該エキスをLC/MSに供し,メタボリックプロファイルデータを取得した.さらに,当該エキスをマウス糞便に添加し,ダイオウの品質指標成分センノシドが腸内細菌により代謝され生成する瀉下活性成分レインアンスロンについて,その生成量をLC/MSにより解析した.その結果,特にダイオウ試料の種類によってレインアンスロン生成量が大きく変動することが明らかになった.得られたメタボリックプロファイルデータとのレインアンスロン生成量データを多変量解析に供し解析することにより,LC/MSメタボリックプロファイルデータから,糞便中で生成するレインアンスロン生成量を予測するモデルを構築した.構築したモデルから,レインアンスロン生成量はセンノシドA, B含量のみに依存するのではなく,その他のエキス成分の影響も大きいことが示唆された. また本研究では,レインアンスロン生成代謝について,生薬材料に含まれる成分の影響を評価することを目的としているが,実験系を確立する中で,腸内細菌側の因子が及ぼす影響についても検証した.その結果,センノシド代謝反応に必要な因子を見出すことができた.この因子は,腸内細菌叢によってはセンノシド代謝反応が大きく減弱する要因となっていることが示唆され,大黄甘草湯エキスに限らず,センノシドを用いた便秘治療の際に有用な知見となる可能性がある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定であった大黄甘草湯エキスを糞便に添加し,生成するレインアンスロン量の解析,およびエキスのLC/MSメタボリックプロファイルデータとの相関解析を行うことができた.これらは当初の予定より前倒しで実施できた.また,レインアンスロン生成代謝について腸内細菌側の因子の影響は当初計画していなかったが,この影響を示唆する結果が得られた.一方,マウス個体を用いた実験に関しては進捗が遅れており,今後,改善する.
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Strategy for Future Research Activity |
大黄甘草湯エキスを経口投与し,マウス腸管内のレインアンスロン生成量の濃度を解析する。また,レインアンスロンを合成し,これを様々な濃度で注入し,瀉下活性を評価する.さらに,これまでに構築した予測モデルを詳細に解析することにより,レインアンスロン生成代謝に影響を及ぼす成分の探索を行い,その機構を明らかにする.
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Causes of Carryover |
当該年度に減圧遠心機を購入予定であったが,当初予定していた機器では必要とする機能が備わっていなかった為,購入を見合わせていた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度未使用分に相当する額で,必要とする機能が備わった機器を手配することができたので,次年度早々に購入する予定である。
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