2017 Fiscal Year Annual Research Report
Effects of inflammatory factors on ERM proteins and transporters functions
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16K18966
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
川瀬 篤史 近畿大学, 薬学部, 講師 (80411578)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 炎症 / トランスポーター / サイトカイン / ERMタンパク質 / 肝細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
様々な疾患の発生や進行に関わっている炎症は,薬物の体内動態にも影響することが知られている。トランスポーターは薬物の体内動態を決定する因子のひとつであり,近年,その膜局在および機能発現には裏打ちタンパク質が重要な役割を果たしていることが明らかにされている。本課題では,炎症時のERMタンパク質リン酸化状態およびトランスポーター機能に対する炎症因子の影響について検討を行った。 当初計画した項目に対する研究実績の概要は下記のとおりである。標的プロテオミクス法によるトランスポーターおよびERMタンパク質の同時定量法の確立では,各タンパク質から定量性の高いペプチド断片を選択し,同一サンプルで一斉に測定可能となった。当初予定していたトランスポーターとERMタンパク質の複合体形成量の定量は予備的段階まで進行し,炎症モデルでの評価は実施していない。標的プロテオミクス法を用い炎症モデルでのERMタンパク質およびトランスポーター発現量の測定を行い,発現変動を明らかにした。肝細胞を用いた検討では,炎症性サイトカインおよび一酸化窒素供与体を用い検討を行い,ERMタンパク質の変動を明らかにした。以上の検討より,一部の炎症性サイトカインがradixinのリン酸化状態を変動し,裏打ちタンパク質としての機能を調整することでトランスポーターの膜局在に影響していることが明らかとなった。得られた知見は炎症を伴う疾患時の薬物療法を考えるうえでの基礎的知見となりうるものと考えられる。
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