2016 Fiscal Year Research-status Report
光学的方法を用いた組織間質液イオン環境の非侵襲的測定法開発
Project/Area Number |
16K18990
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
プップリン レオナルド 京都府立医科大学, 医学部, プロジェクト研究員 (40771580)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ラマン分光 / 間質液 / HC03-濃度 / pH / グルコース / タンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳間質液pHの低下は、2型糖尿病発症の重要な成因であるインスリン抵抗性出現やアルツハイマー型認知症でのアミロイドβ生成に関与している事が明らかになっている。しかしながら、ヒト脳間質液pHの非侵襲的測定法は未開発である。また、間質液HCO3-濃度測定は間質液pH低下解明のため重要ではあるが、HCO3-濃度非侵襲的測定法も未開発である。そこで本研究では、MRIによる間質液pHおよびラマン分光法によるHCO3-濃度の非侵襲的測定法の開発を目指す。本年度は、HCO3-濃度測定法の確立を試みた。まず初めに、異なる濃度のNaHCO3溶液からラマン分光スペクトルの測定を行った。 その結果、1016 cm-1に位置するラマンバンドの強度とHCO3-の濃度との間に相関関係が成立することが明らかになった。ラマンバンドの強度とHCO3-濃度との相関性は、同じ水溶液を異なるCO2濃度(5, 10および20%)で溶液をbubblingすることによって得られたラマンバンドの強度を検証することで確認を行った。また同時にpHメーターを用いて水溶液のpHを連続的にモニターした。 さらに、実際の脳間質液中に存在するグルコースやタンパク質が、HCO3-濃度と相関する1016 cm-1 ラマンバンド強度に影響を与えるかについても検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、まずin vitroの条件下においてラマン分光法を用いたHCO3-濃度測定に成功した。しかし、生理的条件下で想定される低容積の溶液ではHCO3-濃度に相当する1016 cm-1ラマンバンドが検出されなかった。従って、実際の脳間質液の測定に応用するためには、さらに精密なラマン分校測定法の使用が必要であると想定された。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、表面増強ラマン分光法によるHCO3-濃度測定法の開発に全力を尽くす。 分光測定法の精度が確認されたのち、我々は速やかにこの方法をin-vivoで適用する。 ラットの脳間質液をマイクロダイアリシス法により直接採取し測定したHCO3-濃度と表面増強ラマン分光法により非侵襲的に測定したHCO3-濃度との整合性を検証する。また、MRIによる非侵襲的間質液pH測定法についても継続して開発を進めていく。
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