2016 Fiscal Year Research-status Report
リフラクトリーセラミックファイバーの肺内における変質と耐久性の解明
Project/Area Number |
16K19281
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Research Institution | Saitama Institute of Technology |
Principal Investigator |
本郷 照久 埼玉工業大学, 工学部, 准教授 (50434303)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | リフラクトリーセラミックファイバー / 溶解特性 / 肺内耐久性 / 繊維状物質 |
Outline of Annual Research Achievements |
リフラクトリーセラミックファイバーに暴露したことによる健康影響は、未だに不明な点が多い。石綿に代表される繊維状物質の発がん性には、3つの因子(耐久性、サイズ、量)が関与すると考えられており、本研究では“耐久性”に着目しリフラクトリーセラミックファイバーの毒性解明に必要な基礎的知見を得る。 本年度では、以下の事項に関して検討を行った。(1)現在までに生産・使用されたRCFの基本的物性の解明。(2)流通式の溶解実験装置の作製と実験条件の最適化。詳細を以下に示す。 (1)リフラクトリーセラミックファイバーの基本的物性 入手した複数のリフラクトリーセラミックファイバーを分析したところ、主成分がアルミナとシリカであり、それぞれ30~60%と40~60%を含んでいる非晶質の繊維状物質であることが分かった。また、その平均繊維径は2~4μmであり、繊維長はさまざまなものが存在している。本研究では、入手できた試料の中でもっとも平均的な特徴を持つアルミナ47%、シリカ53%の組成を有し、平均繊維径が2.5μmのリフラクトリーセラミックファイバーを使用することにした。 (2)流通式溶解実験装置の作製 流通系による溶解実験装置を作製するに当たり、試料の保持方法と溶解液の流速に関して検討した。試料を保持するフィルターの孔径が0.22μm以下になると圧力損失の影響が大きくなり、流速が著しく低下した。さらに、フィルターホルダーや送液チューブの接合部からの液漏れが頻繁に発生した。孔径が0.45μmのフィルターを用いると、試料を保持しながら流速10~30mL/hの範囲で定常的に運転することが可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画していた検討事項(1:現在までに生産・使用されたRCFの基本的物性の解明、2:流通式の溶解実験装置の作製と実験条件の最適化)に関して、十分なデータと結果を得ることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、まずバッチ式の溶解実験を行い、十分なデータを取得する。それらのデータを解析することにより、流通式による実験条件を決定する予定である。
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Causes of Carryover |
今年度はほぼ計画通りに研究費を使うことができた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
物品費として遠心機や乾燥機の購入を計画している。また、国内外での学会で研究成果の発表を予定しており、旅費としての使用を計画している。
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