2017 Fiscal Year Research-status Report
がん患者におけるサルコペニア発症の分子的メカニズムの解明
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16K19310
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
中村 信彦 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 特任助教 (80550087)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | サルコペニア |
Outline of Annual Research Achievements |
悪性リンパ腫患者の治療前検体を用いて、血清トリプトファン値、その代謝産物であるキヌレニン値をHPLCを用いて測定した。治療前CT画像を用いて、筋肉量を測定し、その関連性を検証した。筋肉量は、第3腰椎(L3)レベルでの筋面積(腹筋、大腰筋、傍脊柱筋)を身長で2回割った骨格筋指数(L3 Skeletal muscle index:LSMI, cm2/m2)を用いて評価した。本年度は、臨床検体を用いた検討の症例数を増やすことができ、より信頼性の高いデータを得た。引き続き、悪性リンパ腫のIDO発現と筋肉量の関係性を検討する。また、キヌレニン以外の代謝産物濃度の測定も行うことができたため、それらと筋肉量との関連に関しても検討する。マウスの筋芽細胞株であるC2C12細胞を用いて、その細胞増殖、筋細胞への分化にトリプトファンの枯渇が与える影響を、筋細胞の機能の変化の面から検討し、筋細胞から分泌されるmyostatinの測定を行った。トリプトファンの枯渇により筋細胞から分泌されるmyostatinが有意に抑制されることが分かった。さらに、トリプトファンを細胞培地に過剰に加えることで、キヌレニンによる筋細胞の分化増殖抑制作用を有意に緩和できることがわかった。つまり、トリプトファンの欠乏が与える影響が筋細胞にはより重要であることを意味しているため、癌患者の血清トリプトファン濃度を維持することがサルコペニア発症を予防できる可能性があると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
臨床データに積み上げが進んだ。マウスを用いた実験の準備ができている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、臨床検体を用いた検討の症例数を増やしていき、より信頼性の高いデータとする。悪性リンパ腫のIDO発現と筋肉量の関係性を検討する。最終年度は、トリプトファン欠乏食を与えたマウスの骨格筋の変化を測定する。そして、学会報告、論文作成を行う。
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Causes of Carryover |
理由:来年度は最終年度となるため、詳細な実験のために費用が増加することが予想される。そのため、次年度への繰り越しが生じた。 使用計画:主な支出は実験の器具・試薬の購入が考えられる。その他、研究成果発表のため、国内外での学会参加旅費に充てられる。
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[Journal Article] Serum concentrations of l-kynurenine predict clinical outcomes of patients with peripheral T-cell lymphoma, not otherwise specified2017
Author(s)
Shibata Y, Hara T, Matsumoto T, Nakamura N, Nakamura H, Ninomiya S, Kitagawa J, Goto N, Nannya Y, Ito H, Kito Y, Miyazaki T, Takeuchi T, Saito K, Seishima M, Takami T, Moriwaki H, Shimizu M, Tsurumi H.
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Journal Title
Hematological Oncology
Volume: 35(4)
Pages: 637-644
DOI
Peer Reviewed
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