2018 Fiscal Year Annual Research Report
Molecular mechanism of sarcopenia in cancer patients
Project/Area Number |
16K19310
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
中村 信彦 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 特任助教 (80550087)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | トリプトファン / サルコペニア |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、トリプトファン欠乏がマウスの骨格筋に与える影響を検討した。トリプトファンを含まない餌をマウスの与えたところ、3週間後に血清トリプトファンは有意に低下し、体重および、腓腹筋、前脛骨筋重量の減少を認めた。腓腹筋をHE染色にて病理的に検討すると、トリプトファン欠乏食マウスでは骨格筋線維の縮小を認めた。骨格筋中のトリプトファン濃度を測定すると、トリプトファン欠乏食マウスと通常食マウスでは差が認められなかった。一方、他のアミノ酸濃度を測定したところ、アスパラギン、アルギニン、グリシン、フェニルアラニン、プロリン、スレオニンがトリプトファン欠乏食マウスで有意に上昇していた。そこで、骨格筋内の代謝変化を調べるために、メタボローム解析を行った。その結果、トリプトファン欠乏食マウスの骨格筋内では糖新生が有意に低下していることがわかった。しかし、エネルギー産生経路であるTCA経路の中間代謝産物に違いはなかった。トリプトファン欠乏食マウスの骨格筋内で上昇していたアミノ酸を検討してみると、それらは主にTCA経路に関与しているアミノ酸であることがわかった。つまり、血清中のトリプトファンが減少すると、骨格筋が減少し、グリコーゲンからの糖新生が低下するため、エネルギー産生を保つためにTCA経路に関連するアミノ酸濃度を上昇させていると考えられた。次に、トリプトファン欠乏食から通常食に食事を戻したところ、マウスの体重は1週間後に元にもどり、骨格筋線維の増大も確認することができた。本研究結果から、骨格筋はトリプトファン濃度に鋭敏に反応するため、サルコペニアの発症予測や治療ターゲットとして有用となる可能性があり、今後の研究の発展が期待される。
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