2016 Fiscal Year Research-status Report
ヒストン脱メチル化酵素JMJD2Aは切除不能胃癌の新しい治療効果予測因子である
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16K19348
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
中川 忠彦 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学系), 特任助教 (40634275)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 抗癌剤感受性因子 / 胃癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者はこれまで切除不能進行胃癌を対象にdocetaxel+CDDP+S-1(DCS)3併用化学療法を受けた患者の著効群と非奏効群において、治療前の癌組織を用いてヒト全ゲノムを網羅的に解析し、効果予測の因子となりうる29 個の遺伝子を抽出した。このうちmRNA 発現と腫瘍縮小率との検討やsiRNA を用いたノックダウン細胞による抗癌剤耐性の検討から、JMJD2Aが抗癌剤の感受性因子である可能性が明らかとなった。そこで本研究ではJMJD2A をノックダウンあるいは遺伝子導入法により過剰発現した細胞を用いて、JMJD2A 抗癌剤感受性因子としての意義を明らかにする。次いで、JMJD2A の感受性に関与する機序を解明し、JMJD2A を標的とした治療薬あるいは効果予測マーカーとしての有用性を検証する。 本研究では、進行胃癌におけるJMJD2A の治療標的因子あるいは効果予測マーカーとしての有用性を立証するために、以下の検討を行った。1.胃癌細胞株(MKN45およびKATOIII)を用いて、JMJD2Aの発現をsiRNA によりノックダウンし、5-FU, CDDP, docetaxel に対する感受性の変化を検討した。2.35例の胃癌患者におけるJMJD2A の発現(免疫染色)と薬剤の治療効果(腫瘍縮小率や全生存期間:OS など)との関係を調べた。3.マイクロアレイ解析により、JMJD2A を介して遺伝子発現が調節される標的遺伝子の探索を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度では、①胃癌細胞株(MKN45およびKATOIII)を用いて、JMJD2Aの発現をsiRNA によりノックダウンし、5-FU, CDDP, docetaxel に対する感受性の変化を検討した。②35例の胃癌患者におけるJMJD2A の発現(免疫染色)と薬剤の治療効果(腫瘍縮小率や全生存期間:OS など)との関係を調べた。③マイクロアレイ解析により、JMJD2A を介して遺伝子発現が調節される標的遺伝子の探索を行った。以上の検討を行うことが出来たため、おおむね順調であるとした。
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Strategy for Future Research Activity |
①MKN45(低分化型腺癌)やKATOIII(印鑑細胞癌)以外の組織型の胃癌細胞株(MKN74中分化型腺癌など)を用いて、JMJD2Aの発現をsiRNA によりノックダウンし、5-FU, CDDP, docetaxel に対する感受性の変化の検討を行う。②マイクロアレイ解析により、JMJD2A を介して遺伝子発現が調節される標的遺伝子を抽出した。抽出した標的遺伝子によるJMJD2A を介した抗癌剤感受性の変化の機序を解析する。
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Causes of Carryover |
本年度に使用する物品について充足したため、次年度に必要な物品費として用いることとなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
抗体などの試薬類やフラスコなどの器具類に用いる。
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