2017 Fiscal Year Research-status Report
ヒト肺動脈内皮細胞・平滑筋細胞特異的マーカーの探索と疾患特異的iPS細胞への応用
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16K19403
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
石田 秀和 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (50467552)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 循環器・高血圧 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在利用可能である肺血管内皮細胞と体血管内皮細胞の網羅的遺伝子発現プロファイルと、肺血管平滑筋細胞と体血管平滑筋細胞の網羅的遺伝子発現プロファイルについて、コンピュータ上で比較し、有意に肺血管細胞にて発現上昇している遺伝子をピックアップした。それらの中で、これまでの発現部位報告から有望そうである遺伝子を選択し、さらにそれらの中から、その遺伝子がコードするタンパク質を認識する特異的抗体が市販で利用可能である遺伝子を選びだした。それぞれ、肺血管内皮細胞と肺血管平滑筋細胞について、まずは候補遺伝子を1つずつ選びだして、ヒト肺組織凍結切片を用いて、免疫組織染色にて発現の有無を実際に確認した。まず、肺血管内皮細胞特異的マーカー候補として同定した遺伝子A,B,Cの3種を同定したが、それらがコードするタンパクについては、実際にヒト肺組織における肺血管内皮細胞で発現していることが確認できたが、ヒト体血管内皮細胞でも発現していることが確認され、いくぶんか染色の濃度の違いは認められるものの、真のマーカーとして適切であるかどうかは疑問の残る結果であった。一方で、肺血管平滑筋細胞特異的マーカー候補として同定された遺伝子X,Yがコードするタンパク質は、実際にヒト肺組織を用いた免疫組織染色を行うと、染色が確認できなかった。遺伝子Zについては、体動脈でも発現が確認されたため、マーカーとしては利用不可能であった。 また、ヒト肺組織から、肺血管をレーザーマイクロダイセクションにて選択的に回収し、そこからRNAを抽出したが、いくつかのサンプルはマイクロアレイによる遺伝子解析には不十分なクウォリティであるため、RNAのクウォリティを上げる工夫を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
いくるかの候補遺伝子を同定はしているものの、真のマーカーとして有用なタンパクをコードする遺伝子には現状では未だたどり着けていないため。網羅的遺伝子発現解析にたどり着けなかったぶん、研究予算の繰越しを行い次年度に使用する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒト肺組織をから、レーザーマイクロダイセクションと、single-cell cDNA合成に用いられる質の高い微量RNAの増幅技術を用いて、高品質のcDNAライブラリを作成する。細小肺動脈から得られる細胞数は少なく、それを平滑筋細胞成分と内皮細胞成分に分離することによって、よりRNAの量と質の低下を招いているため、マスとしての比較を体動脈血管細胞との間で行うことも考慮している。また最近得られた別のヒト検体も用いることで、保存状態が異なるサンプルからのより質の高いRNAの回収を試みる。質の良いサンプルが一定量以上得られれば、網羅的な遺伝子発現解析にかかり、目的の遺伝子の同定を試みる予定である。
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Causes of Carryover |
(理由) 網羅的遺伝子解析に必要な質と量のRNAサンプルが取れなかったため、遺伝子発現解析に遅延が生じた。 (使用計画) 次年度に、より多くの質の高いRNAサンプルを採取することで、解析に用いる。
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