2016 Fiscal Year Research-status Report
造血腫瘍におけるポリコーム群ヒストンメチル化酵素 EZH1 の機能解析
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16K19565
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
青山 和正 千葉大学, 大学院医学研究院, 特任研究員 (50734266)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 発現制御 / 癌 / 造血器腫瘍 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒストンメチル基転移酵素である Ezh1/2 は、ポリコーム群複合体 2 (PRC2) の酵素サブユニットとして、ヒストンH3 リジン 27 のモノ・ジ・トリメチル化 (H3K27me1/2/3) を触媒し、転写を抑制する。EZH2 は、MDS, MPN, MDS/MPN などの造血腫瘍患者で機能喪失型変異が認められている。我々はマウスモデルを用いて、Ezh2 欠損(Ezh2Δ/Δ)により上記の造血腫瘍様病態が発症することを示した (Mochizuki-Kashio, Aoyama et al. Blood 2015)。また、パラログ分子 Ezh1をhomozygous に同時に欠損したマウス(Ezh1-/-Ezh2Δ/Δ)は造血細胞が枯渇し、造血腫瘍を発症しなかった。以上から、Ezh2欠損による造血腫瘍発症には、Ezh1が必須であることを証明した。本研究は、次世代シーケンサーを用いたエピゲノム解析を通して、EZH1 がEZH2 欠損造血幹細胞を維持し、癌遺伝子として機能する分子メカニズムを解明することを目的としている。 平成28年度は研究実施計画に従い、骨髄移植により造血細胞特異的な Ezh1,2 ノックアウトマウスを作製し、造血幹・前駆細胞を純化し、次世代シーケンサーを用いて、RNA シークエンス (RNA seq) およびH3K27me3とH3K27acのクロマチン免疫沈降シークエンス (ChIP-seq) を行なった。解析の結果、Ezh1欠損により活性化する細胞維持に不都合な遺伝子群、すなわちEzh2欠損造血細胞が腫瘍化する際にEzh1が標的とし発現を抑制する重要な遺伝子群をリストアップした。このリスト中には、MDS患者における高発現が報告されている遺伝子も含まれていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画に従い、Ezh1欠損により活性化する細胞維持に不都合な遺伝子群、すなわちEzh2欠損造血細胞が腫瘍化する際にEzh1が標的とし発現を抑制する重要な遺伝子群をリストアップすることができた。 一方、Ezh1のChIP-seqをする目的で作製した3xFLAG-Ezh1ノックインマウスを解析したが、造血細胞におけるノックイン効率が悪いことが分かり、実験系をマウス造血幹前駆細胞株(EML細胞)に変更することになった。しかしながら、既にウィルスを用いて、3xFLAG-Ezh1安定発現EML細胞を得ており、すぐにFLAG抗体を用いたChIP-seqを行う準備が整っている。 以上からおおむね順調に進展していると考えた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度の続きとして、3x-FLAG-Ezh1のChIP を行うとともに、研究計画に従い以下の内容を実施する。 ①SKM-1 細胞 (EZH2機能喪失型 MDS 患者由来) における EZH1 欠損細胞株を作製し表現型を解析する。②マウスモデル同様に、作成した細胞株でもエピゲノム解析を行う。③EZH1欠損により形成された重要なsuper enhancer 領域をCRISPA/Cas9 ゲノム編集によりSKM-1細胞で除去する。④その際の近傍遺伝子の発現変動や細胞増殖などへの影響を検証する。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] Possible role of intragenic DNA hypermethylation in gene silencing of the tumor suppressor gene NR4A3 in acute myeloid leukemia.2016
Author(s)
Shimizu R, Muto T, Aoyama K, Choi K, Takeuchi M, Koide S, Hasegawa N, Isshiki Y, Togasaki E, Kawajiri-Manako C, Nagao Y, Tsukamoto S, Sakai S, Takeda Y, Mimura N, Ohwada C, Sakaida E, Iseki T, Starczynowski DT, Iwama A, Yokote K, Nakaseko C.
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Journal Title
Leuk Res.
Volume: 50
Pages: 85-94
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Setdb1 maintains hematopoietic stem and progenitor cells by restricting the ectopic activation of nonhematopoietic genes.2016
Author(s)
Koide S, Oshima M, Takubo K, Yamazaki S, Nitta E, Saraya A, Aoyama K, Kato Y, Miyagi S, Nakajima-Takagi Y, Chiba T, Matsui H, Arai F, Suzuki Y, Kimura H, Nakauchi H, Suda T, Shinkai Y, Iwama A.
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Journal Title
Blood
Volume: 238(5)
Pages: 638-49
DOI
Peer Reviewed
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