2017 Fiscal Year Research-status Report
モデルマウスを用いたIgG4関連疾患における線維化・硬化病態の解明と治療法の確立
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16K19597
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
水島 伊知郎 金沢大学, 附属病院, 特任助教 (50645124)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | IgG4関連疾患 / 線維化 / モデルマウス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、IgG4関連疾患における線維化・硬化病態について、ヒトIgG4関連疾患組織検体や、Th2優位の免疫反応とリンパ増殖性疾患を起こしIgG4関連疾患モデルマウスであるLAT Y136F変異マウスを用いて、①各臓器病変における線維化・硬化の進展機序の解明、②各種治療薬の線維化・硬化抑制作用、また適切な治療時期の解明のための基礎的な知見を得ることを目的とした。 本年度は昨年度から引き続き、線維化・硬化病巣に存在するコラーゲンのタイプについて本疾患の剖検腎標本を用いて解析し、腎皮質のいわゆる花筵状線維化といわれる線維化・硬化病変と血管周囲病変における線維化・硬化病変とでは病変を形成するコラーゲンの成分が異なること、また腎皮質においても線維化・硬化の進展に伴い線維性コラーゲンであるⅠ型・Ⅲ型コラーゲンの沈着が増加することを見出し、論文報告した。一方、本疾患の線維化・硬化病態に重要な役割を果たしていると考えられるTGF-β1について、ヒト検体を用いた免疫染色にて陽性細胞は極めて稀少であり、線維化の進行度との関連は検討できていない。ヒト臓器標本を用いて、B細胞の活性化・増殖・形質細胞への分化を促進するサイトカインであるAPRILと本疾患の特徴的病理像の形成との関連を検討したところ、病変局所におけるAPRIL高発現、線維化への関与が指摘されているM2マクロファージによるAPRIL産生、ステロイド治療による明らかな発現低下を認め、本疾患の病理像形成にM2マクロファージが重要であることが示唆された。また、LAT Y136F変異マウスについては、週齢を重ねるにつれ各臓器病変において線維化スコア(none, 0; mild, 1; moderate, 2; severe, 3で評価)が上昇してくることが確認でき、IgG4関連疾患の線維化評価のためのモデルマウスになりうると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
ヒト病変において細胞外基質と線維化・硬化との関連を論文報告したが、サイトカインの解析が遅れている。M2マクロファージがAPRIL産生も介して特徴的な病理形成に関与していることを見出したが、線維化との関連の解明は不十分である。マウスにおいてもAPRILと線維化を含めた病理像形成との関連を今後検討予定である。LAT Y136F変異マウスにおける週齢を重ねることによる病変の線維化進展について確認できたが、細胞外基質、サイトカインなどの病態の変遷との関連について、経時的な臓器病変の評価には至っていないため、達成度を遅れているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、ヒトIgG4関連疾患病変において、引き続き線維化・硬化と、サイトカインとの関連についての検討を進め、またケモカインとの関連やこれらの因子の産生細胞についても免疫染色法やRT-PCR法を用いて評価する。また、ヒト病変において関連が認められた分子・細胞について、LAT Y136F変異マウス臓器病変においても免疫染色法やRT-PCR法を用いて経時的な線維化・硬化の進展との関連を解析し、薬剤投与による影響も検討する。
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[Journal Article] Diagnostic sensitivity of cutoff values of IgG4-positive plasma cell number and IgG4-positive/CD138-positive cell ratio in typical multiple lesions of patients with IgG4-related disease.2018
Author(s)
Mizushima I, Yamada K, Harada K, Matsui S, Saeki T, Kondo S, Takahira M, Waseda Y, Hamaguchi Y, Fujii H, Yamagishi M, Kawano M.
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Journal Title
Modern Rheumatology
Volume: 28(2)
Pages: 293-299
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] New clues to the nature of immunoglobulin G4-related disease: a retrospective Japanese multicenter study of baseline clinical features of 334 cases.2017
Author(s)
Yamada K, Yamamoto M, Saeki T, Mizushima I, Matsui S, Fujisawa Y, Hara S, Takahashi H, Nomura H, Kawa S, Kawano M.
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Journal Title
Arthritis Research and Therapy
Volume: 19(1)
Pages: 262
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] A case developing minimal change disease during the course of IgG4-related disease.2017
Author(s)
Yamada K, Zoshima T, Ito K, Mizushima I, Hara S, Horita S, Nuka H, Hamano R, Fujii H, Yamagishi M, Kawano M.
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Journal Title
Modern Rheumatology
Volume: 27(4)
Pages: 712-715
DOI
Peer Reviewed
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