2016 Fiscal Year Research-status Report
アポトーシス/CD300aを基軸とした全身性強皮症の病態解明と新規治療法開発
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16K19603
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
綾野 雅宏 九州大学, 医学研究院, 助教 (40773677)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | CD300a / アポトーシス / 全身性強皮症 / CD8 / T細胞 / エフェクター細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は健常者CD300a陽性CD8陽性T細胞の機能の解明を目的に研究を行い、下記の知見を得た。 1.CD300aが高発現しているCD8陽性T細胞サブセットの同定:ナイーブ細胞でのCD300a発現は一部に留まるが、セントラルメモリー、エフェクターメモリー、エフェクター細胞と分化が進むにつれてCD300a発現レベルの亢進を認めた。またCD300aの発現レベルは高発現と中等度発現の二峰性を示し、CXCR3陽性Tc1サブセットはCD300a高発現細胞、CRTH2陽性Tc2サブセットはCD300a中等度発現細胞に大多数が含まれ、CD300a発現レベルとサイトカイン産生細胞との関連が示唆された。 2.CD300a陽性細胞の機能的特徴の解析:CD8陽性T細胞をPMA+イオノマイシンで刺激しサイトカイン産生能および細胞傷害活性を評価した。その結果、CD300a陽性細胞においてサイトカイン(IFN-γ、IL-13)産生能、CD107a発現を指標とした細胞傷害活性能が高く、CD300a陽性細胞はエフェクター機能の高い細胞集団と考えられた。 また少数例での検討ではあるが、CD8陽性細胞におけるCD300a発現レベルを全身性強皮症患者と健常者で比較したところ、全身性強皮症患者においてCD300a陽性率および発現レベルが亢進していた。臨床病型との関連では、びまん皮膚硬化型および間質性肺炎合併症例でCD300a発現レベルの亢進を認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に行う予定であったCD300aの発現レベルを調整する因子を同定するための研究は十分に進められなかったが、全身性強皮症患者検体を用いた解析を前倒しで開始できたため、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降はCD300a陽性CD8陽性T細胞の機能的特徴をより詳細に解析すると共に、CD300a高発現細胞と中等度発現細胞についても特徴的な機能を有するか検討する。また本年度十分に進められなかったCD300aの発現レベルを調整する因子を同定する研究にも精力的に取り組む。さらに全身性強皮症患者での解析症例を増やし、病態形成における役割を明らかにすることを目標とする。
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Causes of Carryover |
本年度は予定していたサイトカイン刺激やT細胞サブセット極在条件下(Tc1:IL-12+抗IL-4中和抗体、Tc2:IL-4+抗IFN-γ中和抗体、Tc17:IL-6+IL-1β+IL-23+TGF-β+抗IFN-γ中和抗体+抗IL-4中和抗体)での機能解析を行わなかったため、必要な試薬は次年度に購入する予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
細胞刺激に用いるサイトカインや中和抗体、フローサイトメトリー解析に用いる抗体など次年度に使用する実験試薬の購入に充てる予定である。
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