2017 Fiscal Year Research-status Report
わが国の小児における遺伝性・家族性膵炎の遺伝子変異の同定およびその臨床像の解明
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16K19668
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
箕輪 圭 順天堂大学, 医学部, 助教 (90770818)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 遺伝性膵炎 / 家族性膵炎 / PRSS1遺伝子 / SPINK1遺伝子 / CTRC遺伝子 / CPA1遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
小児において膵炎は決して稀な疾患ではないが、遺伝性・家族性膵炎の発症率や臨床像については明らかでない。遺伝性・家族性膵炎は小児期から膵炎を繰り返すことで、児および家族のQOLの低下や精神的・経済的な負担をきたすのみならず、将来的な膵癌発症のリスクを50~60倍増加させる。本研究では原因の明らかでない膵炎患児において、膵炎関連遺伝子を同定し、的確な診断をつけること、および遺伝性膵炎の小児期からの臨床像を明らかにすることを目的とした。 前年度までに、これまで当研究施設にて解析した膵炎症例の検体および、自施設を含めた国内医療機関からの収集検体、計128症例についてPRSS1、SPINK1、CTRCおよびCPA1遺伝子について解析を行い、全体の43.6%に遺伝子変異を認めた(PRSS1:20.3%,SPINK1:18%,CTRC:2.4%,CPA1:3.9%)。 今年度は新たに24症例の検体を収集し、現在解析を行っている。また、遺伝子変異を認めた症例についての調査票を送付・回収し、遺伝性・家族性膵炎の臨床像についての検討を進めていく。 研究を行うと同時に、これまでに得られた知見をもとに、昨年度は4題、今年度は4題、国内外での学会発表を行った。今後、遺伝子解析結果および、回収し得た調査票を解析した結果をまとめ、論文化していく方針である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
検体の収集数及び解析自体についてはほぼ予定通りに進行している。遺伝子変異を認めた症例についての調査とその解析に時間を要している状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
必要なサンプル数を確保するために、引き続き学会活動などを通じて広く研究への参加を呼び掛けていく。遺伝子変異を認めた症例に対しては、報告書と共に調査票を送付して、臨床情報の収集を進めていく。 現在までに得られた症例の遺伝子変異および臨床情報についての解析を進めていく。 本研究計画を円滑に推進するために、進捗状況については小児膵臓疾患専門家(研究協力者:鈴木)に報告し、議論をしながら進めていく。
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Causes of Carryover |
検体の収集自体はおおむね順調に行われているが、全国多施設から広く収集を行っていることや疾患の希少性から、検体の収集数にかなりの波がある。今年度は年度末付近に多くの検体が集中したため、自施設、他研究における残余試薬などを一時的に使用していることや、解析機器の不具合などにより一時的に解析が滞った時期があることなどから、検査物品の購入費などが計画に比しかなり少なくなった。次年度については前述の試薬購入や、現時点で未解析の検体を含めた収集検体の解析のための物品購入を行う他、国内外での学会発表および、論文化のための資料購入、校正費用等に使用していく予定である。
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