2016 Fiscal Year Research-status Report
個別化医療実現に向けたラモトリギン誘発性皮膚障害と治療反応性の薬理ゲノム学研究
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16K19785
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
齋藤 竹生 藤田保健衛生大学, 医学部, 講師 (30767611)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 精神神経科学 / 精神薬理遺伝学 / 双極性障害 / ゲノム |
Outline of Annual Research Achievements |
双極性障害の治療では、気分の安定を維持するために、気分安定薬を長期に渡り服用する必要があるが、それらの薬剤は時に重篤な副作用を引き起こすことがある。双極性障害の気分安定において有用である気分安定薬のラモトリギン(LTG)は、重篤な副作用としてStevens Johnson症候群、中毒性表皮壊死症などの皮膚障害を引き起こすことが知られている。これら副作用を避けるための予測因子が同定できれば、薬剤治療の質は高まると考えられる。また同様に、薬剤治療反応性に関する予測因子を同定することで、有用な薬剤を使用する指標ができ、患者のQOLを向上させることができる。 本研究では「LTG誘発性重症皮膚障害のリスクとなる遺伝子多型の同定」と「双極性障害のLTG治療反応性に影響する遺伝子多型を同定」を行い、個別化医療への基盤を構築することを目的とする。 本年度は、「LTG誘発性重症皮膚障害のリスクとなる遺伝子多型の同定」を進める計画であった。まず、ケース群とトレラントコントロール群においてLuminex法を用いて、古典的HLAに関して4 桁のレベルでジェノタイピングを行った。次にAllele-wiseにFisher正確検定を用いて関連解析を行った。その結果一つのHLA alleleとLTG誘発性皮膚障害との間にmerginalに有意な関連を見出した。さらにこの関連を追試するため一般集団コントロールに用いて関連解析を行ったところ、同様にmerginalに有意な関連を見出したが、トレラントコントロールを用いた解析と比較して関連は弱い結果であった。これらの結果は、一般集団コントロールには潜在的にケースの混入が予測よりも多いことから生じていると考えられるため、今後この関連を確かなものにするために、より純粋な表現型であるトレラントコントロールとケースのサンプル数を拡大し解析する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成28年度の当初の研究計画通り、古典的HLAの ジェノタイピングとHLA関連解析を遂行した。しかし、HLA imputation法を用いた解析については終えられていないため、やや遅れている状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度の計画を予定通り進めると共に、今回見出されたHLA alleleとLTG誘発性皮膚障害との関連を確かなものにするために、より純粋な表現型であるトレラントコントロールとケースのサンプル数を拡大し解析する。また遅れているimputation法を用いた解析についても進める。
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Research Products
(2 results)