2017 Fiscal Year Research-status Report
画像病理比較を基盤とした限局性自己免疫性膵炎と膵癌の高精度鑑別手法の確立
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16K19811
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
井上 大 金沢大学, 附属病院, 助教 (00645129)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 自己免疫性膵炎 / focal AIP / 膵癌 / CT / MRI |
Outline of Annual Research Achievements |
限局型自己免疫性膵炎(focal AIP)と膵癌の切除症例を用いて、画像検査所見 (CT, MRI, FDG-PETなど)と病理所見の高精度対比を行い、両者の画像所見の違いを明らかにし、臨床に寄与する目的で研究を行った。 1.すでに平成28年度の研究で膵癌に関しては目標症例数(50例)の集積を終了していたため、患者情報(年齢、主訴、腫瘍マーカー、肝機能、膵機能、血清IgG4/IgG値など)の情報を追加し、データベース作成を完遂した。Focal AIP症例においては平成28年度に集積した症例のうち、必要な画像検査や血液データの得られていない症例を省き、データベースの作成を継続した。また目標症例数(50例)を達成するために他施設への研究協力の呼びかけを行い、さらに10例程度の症例を追加し、データベースの作成を行った。 2. 平成28年度および29年度に集積した症例に関しては特に膵癌症例に関して引き続き術前画像検査(匿名化DICOM data)を集積し、画像viewerを用いて病変内部の造影パターンや造影各相における内部textureの解析、辺縁性状や膵管所見などの解析を随時進め、データベースに追加した。 3.画像と比較するための病理所見の評価は平成28年度に引き続き、未染色標本の集積を進め、集積した症例に関しては当院病理部において随時HE,アザン,IgG4といった染色を行い、バーチャルスライドに取り込みデジタル化データとして蓄積した。 現状においてはfocal AIPも他施設の協力を得て症例集積を進めることができた。また膵癌切除例のデータベース化は完遂でき、画像、病理集積も予定通りに進行することができた。さらに画像データの解析や病理標本の染色、デジタル化も順調に進んでいる。またこの過程において下記論文発表、関連学会発表を行った他、和文雑誌にも関連項目の執筆を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は平成28,29,30年度の3年間での計画であり、2年目にあたる平成29年度に関しては平成28年度にすでに目標症例数の集積が終了していた膵癌切除症例に臨床情報を加えたデータベース化の作成が完遂した。さらに画像検査の集積/所見の解析にも着手し、データベースに追加することができた。また病理標本の集積、染色/デジタル化も予定通り進んでいる。 Focal AIP症例については金沢大学放射線科および関連病院のみでは目標症例数の集積の困難が予想されたが他大学を含む他施設の協力が順調に得られたため、さらに症例の集積を進めることができた。これらの追加症例に関しても臨床情報、画像の集積も平成29年度に進めることができ、集積済みの画像に関しては随時解析を行うことができた。病理標本も未染色標本が追加施設から集積されてきており、随時染色、デジタル化を進めることができた。膵癌、focal AIP両者ともすでに一部症例で画像解析を進めているが当初予想していた手順で問題なく進んでおり、計画通りに解析を終了できる見通しが立っている。病理標本の染色、デジタル化も当院病理部の協力で予定通り進み、画像所見の解析が終了次第、本研究のメインテーマである画像病理の比較検討が開始できる見通しである。
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Strategy for Future Research Activity |
計画最終年度にあたる平成30年度に関しては引き続き臨床症状を加えたfocal AIPのデータベースの完成を行う(臨床情報、画像検査集積、病理標本集積/デジタル化はいずれも5月中に終了予定)のに平行してすでに集積済みのものに関してはCT, MRIでの造影パターンや膵管壁肥厚、辺縁部の性状評価といった画像解析を進める。また病理標本を用いて腫瘤内の細胞密度の評価、小葉構造の評価、辺縁ならびに脂肪組織境界部の線維化のパターンの解析を行った後に放射線科医、病理医での合議による画像病理所見の比較検討を行い、focal AIPの特徴的な画像所見を病理背景を併せて抽出し、膵癌との画像上の鑑別点を明らかにする予定をしている。
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Causes of Carryover |
(理由)症例データベース作成の際に特にfocal AIPの症例収集が予定よりやや遅れ、他施設からの症例収集を行ったため、未染色病理標本の集積に時間がかかったため、平成29年度に病理染色を行った症例数が予定より少なかったことが主な理由として考えられる。
(使用計画)平成29年度に病理染色を行わなかった症例も平成30年度には未染色標本の収集が進むため、病理染色に使用する予定である。また本研究より得られた知見を国際学会での発表や国際誌への論文発表の際の英文校正費用等に使用する予定をしている。
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Research Products
(10 results)