2018 Fiscal Year Research-status Report
脂肪肝切除後の分子病態解明と抗酸化能増強による易障害性、易転移性克服法の開発
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16K19885
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
島田 慎吾 北海道大学, 大学病院, 医員 (40755576)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 脂肪肝 / 肝癌細胞 / 質量分析イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
【当該年度の研究内容】H30年度は、H29年度までに確立したラット脂肪肝モデルを用いて、1)肝温虚血再灌流障害の評価を行った。全身麻酔下で開腹し、脳動脈瘤クリップを用いて70%の部分温虚血を行い、閉腹した。麻酔覚醒後、飲食は自由とした。以下の時点で全身麻酔下で再開腹し、血液と肝組織をサンプリングしてAST/ALTおよび病理組織を評価した。① 単開腹のみ (Control群)、② 45分温虚血終了時 (EWI45群)、③ 75分温虚血終了時 (EWI75群)、④ 45分温虚血→1時間再灌流終了時 (I45/R1h群)、⑤ 75分温虚血→1時間再灌流終了時 (I75/R1h群)、⑥ 75分温虚血→6時間再灌流終了時 (I75/R6h群)。さらに、2)ラット70%肝切除モデルを確立した。また、3)ラット脂肪肝温虚血再灌流障害モデルにおいて質量分析イメージングを用いた評価を行った。4)肝癌細胞の培養を行った。 【当該年度の研究結果】1)血中ALT、AST活性では、正常肝・脂肪肝ともにI75/R6h群でControl群と比べて有意に高値を示したが、脂肪肝では著明に上昇した。病理組織学的評価による傷害スコアはControl群とEWI45群、EWI75群では、それぞれ群間に有意差を認めなかった。I75/R6h群では正常肝・脂肪肝ともに高度のうっ血と空胞化を認めた。その傷害は脂肪肝で有意に増強した。さらに、脂肪肝の門脈周囲ではうっ血が非常に強く、ネクローシス途上の所見も確認された。 2)安定した70%肝切除モデルを確立した。全例生存しえた。 3)Lysophosphatidylinositol(LPI)は障害の程度に応じてASTやALTよりも、ごく早期に上昇することを見出し、脂肪肝における虚血再灌流障害のバイオマーカーとなりうる可能性があることがわかった。 4)肝癌細胞を安定して培養しえた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
肝発癌モデルおよび線維化モデルが確立できなかった。 研究者が臨床業務の比重が多く、十分に時間を確保できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
線維化モデルに関して、 melanocortin-4 receptor欠損(MC4R-KO)マウス(Itoh M,et al:JCI Insight 2017)の使用を検討する。 発癌モデルに関して、免疫不全モデルを用いる。 また、研究についても申請者のみならず大学院生とも連携をして進めていく。
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Causes of Carryover |
研究の進捗の遅れにより次年度使用額が生じた。 線維化モデルおよび免疫不全マウスの購入のために使用予定。
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