2016 Fiscal Year Research-status Report
胃がん関連線維芽細胞のエピジェネティック特性の解明
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16K19959
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
前田 将宏 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 研究員 (30738703)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | がん関連線維芽細胞 / エピジェネティクス / ヒストン修飾 |
Outline of Annual Research Achievements |
胃がん切除検体50検体のがん部、非がん部から、静置培養法によりそれぞれCAF、NCAFの樹立を試み、最終的に46組のCAF、NCAFの樹立に成功した。樹立した12組のCAF及びNCAFに対してクロマチン免疫沈降法とCpG Island microarrayを用いてゲノム網羅的ヒストン修飾解析(ChIP-on-chip)を行った。クラスタリング解析では、CAFとNCAFは異なるプロファイルを有し、CAFではNCAFと比べて多くのH3K27me3の変化が、増加・減少共に認められること、その程度は患者間で多様性を示すことを明らかにした。 CAFでH3K27me3が減少した領域を含み発現上昇(2倍以上)した遺伝子群の中には、WNT関連蛋白、BMPファミリー、成長因子、サイトカインや分泌蛋白などが多く含まれており、その中で最も高頻度(9/12組)にCAFでH3K27me3により制御され発現上昇している遺伝子としてWNT5Aを同定した。胃がんにおいてそのオートクライン作用が報告されていたWNT5Aであったが、胃がん細胞株、NCAFと比べ、CAFのConditioned mediaから多く分泌されており、CAFによるパラクライン作用の重要性が示唆された。 エピジェネティック制御解析ついては、ヒストン脱メチル化酵素阻害薬として最近固形がんにおける有用性の報告が相次いだGSK-J1のプロドラッグであるGSK-J4に着目して現在条件検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)CAF/NCAFの樹立:胃がん切除検体50検体のがん部、非がん部から、静置培養法によりそれぞれCAF、NCAFの樹立を試み、最終的に46組のCAF、NCAFの樹立に成功した。 2)H3K27me3制御遺伝子の解析: i.ヒストン修飾解析(H3K27me3):12組のCAF及びNCAFに対してクロマチン免疫沈降法とCpG Island microarrayを用いてゲノム網羅的ヒストン修飾解析(ChIP-on-chip)を行った。クラスタリング解析では、CAFとNCAFは異なるプロファイルを有した。またCAFではNCAFと比べて多くのH3K27me3の変化が、増加・減少共に認められ、またその程度は患者間で多様性を示した。ii. H3K27me3制御遺伝子の同定:CAFでH3K27me3が減少した領域を含み発現上昇(2倍以上)した遺伝子群の中には、WNT関連蛋白、BMPファミリー、成長因子、サイトカインや分泌蛋白などが多く含まれていた。その中で最も高頻度(9/12組)にCAFでH3K27me3により制御され発現上昇している遺伝子としてWNT5Aを同定した。胃がんにおいてそのオートクライン作用が報告されていたWNT5Aであったが、胃がん細胞株、NCAFと比べ、CAFのConditioned mediaから多く分泌されており、CAFによるパラクライン作用の重要性が示唆された。iii.組織検体における発現異常の確認:WNT5Aに関して検討した抗体の中で機能するものがなかった。 3)エピジェネティック制御解析:ヒストン脱メチル化酵素阻害薬として最近固形がんにおける有用性の報告が相次いだGSK-J1のプロドラッグであるGSK-J4に着目して現在プロトコールの条件検討を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
H28年度において困難であった組織検体における発現異常の確認については、引き続き検討を進めるが、間質由来の分泌性蛋白の場合、免疫組織染色での評価が困難なことがある。そこで代替案として、RNAscopeの活用、またBulkがん組織検体での発現解析を進める。エピジェネティック変化の可塑性についてはNCAFへのEZH2 inhibitor処理によりCAFの標的遺伝子の発現上昇が起こるか試みる。 H29年度は、がん進展・微小環境形成における機能解析を進める。 CAFおよびNCAFのConditioned mediaを用いた機能解析:CAFおよびNCAFのConditioned mediumを作成し、がん細胞株を用いて増殖能(WST-8 assay)、浸潤能・遊走能といったがん進展機能に与える影響について解析する。また候補遺伝子の阻害剤による抑制によりその影響を打ち消すことができるかを解析する。 血管新生促進機能解析:一部候補遺伝子は血管新生への影響が予測される。その場合、HUVEC(ヒト臍帯静脈内皮細胞)を用い、上記に記載したCAFおよびNCAFのconditioned mediaにより血管内皮細胞の増殖能、浸潤能・遊走能そして微小血管形成能について解析する。
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Research Products
(4 results)