2016 Fiscal Year Research-status Report
流体構造連成解析を用いたくも膜下出血発症時の重症度予測
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16K19998
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
南部 育 金沢大学, 附属病院, 医員 (80735465)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 数値流体解析 / 流体構造連成解析 / 脳動脈瘤 / くも膜下出血 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血発症時の重症度予測を確立し,未破裂脳動脈瘤に対する治療適応の新たな判断因子を同定するために研究を進めている.脳血管に弾性をもたせ,より生体に近いシュミレーションと考えられる流体構造連成 (fluid structure interaction: FSI) 解析を用いることを考えているが,まずは前段階として50例の破裂脳動脈瘤に対して数値流体 (computational fluid dynamics: CFD) 解析を行った.「破裂孔が小さく出血量が少ないものが軽症,破裂孔が大きく出血量が大きいものが重症になる」との仮説のもと,脳動脈瘤破裂部位の様々な血行力学的指標 (血流速度 (velocity),圧力 (pressure),壁面せん断応力 (wall shear stress),壁面せん断応力ベクトルの変化の度合い (oscillatory shear index),エネルギー損失 (energy loss) など) を測定している.特に破裂部位にどのように血流が衝突しているか,破裂部位にどの程度の圧力がかかっているかという点に注目している.なぜなら,破裂部位に強い血流が衝突している場合は,破裂部位の止血が困難となるのではないかと考えているためである.これら種々のパラメーターと重症度との相関関係を検討している.また,開頭手術を行った症例では,動脈瘤壁や破裂部位の性状(壁の厚さや薄い部分の面積)を顕微鏡下で観察し,CFD解析から得られる血行力学的指標との関連性を検討した.今後は血管に弾性を持たせたFSI解析を行い,破裂部位にかかる血行力学的指標をCFDで測定された値と比較検討する.両解析において異なる部分を評価し,どちらがより予測因子として妥当であるかを検討する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
くも膜下出血50症例に対してCFD解析を行い,破裂部位の血行力学的因子を検討した.おおむね順調に進んでいるが,今後FSI解析を行っていく必要がある.
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Strategy for Future Research Activity |
さらに症例数を増やし,解析を進める.また,構造解析を行うためのソフトウェアを導入し,CFD解析を行った症例に対してFSI解析を行う予定である.
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Causes of Carryover |
平成28年度に構造解析を行うソフトウェアを購入予定であったが,数値流体解析後に使用する方針としたため,それに伴う経費は繰り越しとした.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
構造解析を行うソフトウェアを購入予定である.
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