2016 Fiscal Year Research-status Report
神経障害性痛における脊髄グリシンニューロンの役割の解明
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16K20083
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
倉部 美起 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (30635579)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | in vivoパッチクランプ / 脊髄後角 / 痛み |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 研究結果 (1)脊髄後角ニューロンにおいて、正常ラットとchronic constriction injury(CCI)ラット間で抑制性シナプス後電流(inhibitory postsynaptic currents:IPSC)に差が生じるかを解析し比較した。成熟雄性ラットを用いて脊髄in vivo標本を作製し、脊髄後角ニューロンよりホールセル・パッチクランプ記録を行った。保持膜電位を0 mVとし、自発性IPSCを観察した。その結果、正常ラットに比べてCCIラットでは自発性IPSCの頻度、振幅ともに有意に減少していた。さらに、シナプス間隙でのシナプス応答の変化を観察するためにテトロドトキシン存在下に微小IPSCを記録した。その結果、正常ラットとCCIラット間で微小IPSCの頻度・振幅に差を認めなかった。 (2)正常ラットとCCIラット間でグリシン作動性電流に差が生じるかを解析した。保持膜電位を0 mVとして自発性IPSCを記録しGABA受容体阻害薬であるビククリンを脊髄表面に灌流投与し、グリシン作動性IPSCを観察した。これまでのところ、グリシン作動性IPSCの頻度や振幅にはニューロンごとのばらつきが大きく、また、記録数が少ないために解析するまでには至っていない。 2.意義 CCIラットでは抑制性伝達物質(GABAあるいはグリシン)の放出が減少していること、GABAあるいはグリシン受容体の感受性が変化していることが示された。その機序として、脊髄局所での変化ではなくより上位の中枢神経や末梢神経からの入力の変化が関与していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
グリシン作動性ニューロンからの記録結果にばらつきが大きく、記録にニューロン数が少ないため、解析するには至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
厳密にグリシン作動性シナプス電流を分離するために、GABA受容体拮抗薬であるビククリン投与だけでなく、興奮性シナプス電流の拮抗薬を投与する。さらに、グリシン作動性IPSCについて解析を進める。
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Causes of Carryover |
予定していたよりもやや進捗が遅れており、使用薬剤の購入が進んでいないため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度にはグリシン受容体やグリシントランスポーターの変化を調べるために、拮抗薬等の購入が必要となると考えられる。
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