2016 Fiscal Year Research-status Report
新規経口抗凝固薬を対象とした、全血検体による薬効評価法の確立
Project/Area Number |
16K20111
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
小川 覚 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50636131)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 抗凝固薬 / 直接作用型経口抗凝固薬 / 止血モニタリング法 / プロトロンビン時間 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、直接作用型経口抗凝固薬がPT(トロンビン時間)およびaPTT(活性化部分トロンボプラスチチン時間)測定結果に対する影響を血漿および全血検体の両者で比較した。 ダビガトランによるaPTT用量依存性の延長効果は(0, 20, 50, 100, 200, 500, 1000ng/mL)、全血検体を用いたPoint-of-care装置(POC)[CG02N] および自動凝固分析装置をもちいた標準的血漿測定法の両者で確認できたが、その再現性は血漿測定法で高く、全血測定法でやや劣っていた。また、リバーロキサバンによるPTの延長効果(0, 20, 50, 100, 200, 500, 1000ng/mL)についても全血POC装置および血漿測定法の両者で確認できたが、血漿測定法に使用するPT試薬で誤差が大きい傾向が確認された。ダビガトランおよびリバーロキサバンによる抗凝固活性は組織因子をもちいた蛍光トロンビン生成試験のpeak値に濃度依存性に相関し、また、これはaPTTまたはPTの薬剤反応性とも同様の傾向を示した。 全血検体を使用したPTおよびaPTTを使用することで、標準的な血漿測定法と同様に、直接作用型経口抗凝固薬の薬効モニタリングが可能であることが示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
既存のPOC装置を複数種使用して、装置間における全血凝固時間の比較を行う予定としていたが、検体のヘマトクリット値に結果が影響をうける可能性が示された。抗凝血目的に抗凝固薬を添加しない全血検体で、ヘマトクリットが一定の検体をすみやかに調整する手法の確立にやや時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
各種抗凝固薬を治療域から異常域濃度に調整した血液検体をもちいて、血漿および全血凝固時間測定をおこなう。また、各種凝固因子活性や、トロンビン生成試験による生体内トロンビン量の定量を行う。ダビガトラン濃度と全血エカリン凝固時間の測定結果から、全血検体による至適な試薬濃度と測定環境を決定する。これらから、ダビガトランの薬効評価をおこなえる全血エカリン時間法を開発するうえでの基盤的なデータを取得する。
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Causes of Carryover |
本年度には購入予定の凝固分析装置の購入を見送ったことで、その装置代金および消耗品にあてる購入代金が必要ではなくなったことから、次年度への繰越使用費が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
蛍光トロンビン生成試験測定に使用する消耗品コストが予定より超過していることから、繰越金額をその費用に充てる予定としている。
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