2016 Fiscal Year Research-status Report
5-HT3受容体陽性細胞を標的とする過活動膀胱の新規治療法開発にむけた基礎的研究
Project/Area Number |
16K20135
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
竹澤 健太郎 大阪大学, 医学系研究科, 招聘教員 (90648015)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 5-HT3受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、セロトニン受容体の一つである5-HT3受容体の膀胱機能における役割を明らかにすることを目的とした研究である。まず、5-HT3受容体陽性細胞がEGFPを発現するHtr3a-EGFP遺伝子改変マウスを用いて、膀胱、一次求心性神経、脊髄、遠心性神経といった排尿反射経路における5-HT3受容体の発現分布を検討した。5-HT3受容体は、一次求心性神経に豊富に発現し、その末梢枝と中枢枝がそれぞれ膀胱の粘膜下層や筋層と脊髄の後角や深層に分布していることが分かった。また、5-HT3受容体は、副交感神経節後神経節である骨盤神経節の神経細胞にも豊富に分布していることも分かった。この発現解析の過程で、膀胱筋層に5-HT3受容体陽性の細胞のような構造物が散在することが明らかとなった。当初この構造物は細胞であはないかと考えていたが、様々な膀胱切片を作成し詳細に解析した結果、その多くは5-HT3受容体陽性の神経線維の束であることが判明した。しかしながら、その一部は5-HT3受容体陽性の細胞であることも分かった。この細胞については免疫組織化学的な検討を行い、この細胞がc-Kit陰性、αSMA陰性、PGP9.5陽性、ChAT陽性であることが分かった。これらの免疫組織化学的検討の結果から、この細胞は副交感神経節後神経節の神経細胞の一部ではないかと考えられた。以上のように、5-HT3受容体は排尿反射経路に豊富に存在しており、膀胱機能において何らかの機能的役割を有している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、膀胱5-HT3受容体は豊富に存在すると考えていたが、詳細な形態解析の結果、それらは神経線維の束であることが分かり、膀胱5-HT3受容体陽性細胞はそれほど多くないことが判明したため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、膀胱機能における5-HT3受容体の役割を解明するため機能解析を行う予定である。また、ヒト膀胱組織における5-HT3受容体陽性細胞の存在を検討する予定である。
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Causes of Carryover |
予定していた出張が延期になったため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
延期していた出張に参加した際の旅費として使用予定
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Research Products
(2 results)