2017 Fiscal Year Annual Research Report
Bone Marrow-Derived Mononuclear cells therapy can attenuate acute inflammation in Rat Heatstroke.
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16K20390
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
梅村 穣 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (20743561)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 熱中症 / 骨髄移植 / 骨髄由来単核球細胞 / 多臓器障害 / 血管内皮障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
熱中症は高温環境下で発生する身体適応障害の総称で、体温上昇と高度脱水による循環不全をきたし、重症例では意識障害、多臓器不全から死に至ることもある。骨髄由来単核球細胞 (BMMNCs)移植は抗炎症作用、組織修復作用を介して侵襲制御に関与するとされ、いくつかの侵襲病態に対する有効性が報告されているが、その作用メカニズムは十分に解明されていない。本研究の目的は、重症熱中症ラットモデルに対しBMMNCs移植療法の有効性を評価し、多臓器障害進行のメカニズムを解析することで致死的な重症熱中症に対しての新たな治療戦略を確立することである。 実験には12週齢ラットの熱中症モデルを使用した。健常ラットの大腿骨、脛骨より骨髄液を採取し、BMMNCsを単離した後、侵襲暴露直後の熱中症に静注投与した。一個体に対して1×107個を静注投与した。BMMNCs移植群、コントロール群の7日間生存率、血清サイトカイン、組織学的検討を行った。 BMMNCs移植群は7日間生存率が有意に高く、(83.3%対41.7%)、また暴露後3、6、12時間後の血清IL-6、TNF-α、Histone H3などの炎症マーカー、ICAM-1、Syndecan-1の血管内皮マーカーの濃度は有意に低かった。またコントロール群では侵襲暴露後6時間後の肺組織に間質浮腫や炎症細胞浸潤などの著明な炎症所見を認めたが、BMMNCs移植群ではこれらの所見が抑制されていた。さらに免疫染色法によって肺組織の血管内皮を裏打ちするグリコカリックス層の主要構成成分であるSyndecan-1を蛍光染色したところ、コントロール群で著明な発現低下を認めた一方、BMMNCs移植群では発現低下は極わずかであった。以上の結果より、熱中症におけるBMMNCs移植は、血中の炎症誘発性サイトカインの制御を介して、組織障害を抑制し、生存率を改善させる可能性が示された。
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Research Products
(2 results)