2016 Fiscal Year Research-status Report
抗菌剤リチャージャブルポリマー粒子の義歯床用レジンへの応用
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16K20497
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
北川 晴朗 大阪大学, 歯学研究科, 助教 (50736246)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 抗菌性 / 薬剤徐放 / ポリマー / 義歯 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、CPC担持ポリマー粒子配合レジンを試作し、試作レジンからのCPC溶出性、およびリチャージ特性の評価を行った。HEMAと架橋性モノマーTMPTを混合したモノマー混合液に、CPC粉末を添加し、加熱重合後粉砕して、CPC担持ポリマー粒子を作製した。作製したCPC担持ポリマー粒子を20あるいは50(wt)%の割合で配合したメタベースMの粉材と、液材を練和した混和泥を、直径9 mm、深さ2 mmのモールドに填入し、硬化ディスクを作製した。 CPC溶出性を評価するため、作製した各硬化レジンを滅菌蒸留水に浸漬して、溶出したCPC濃度を測定した。CPC担持ポリマー粒子を50(wt)%配合した試料では、20(wt)%配合した試料に比べて、高濃度のCPC溶出が維持されることが分かった。次に、CPCのリチャージ特性を評価するため、CPCを一旦溶出させた硬化レジンを、500μg/mLのCPC水溶液に5分間浸漬してCPCのリチャージを行い、その後、滅菌蒸留水に再浸漬して、溶出したCPC濃度を再測定した。その結果、CPC担持ポリマー粒子を配合した試料では、CPC担持ポリマー粒子非添加の試料に比べて、リチャージによるCPCの上昇濃度が高かった。また、20%および50%配合ともに、3日ごとにCPCをリチャージすることで、Candida albicansに対するCPCの最小発育阻止濃度以上のCPC溶出を維持できることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度の研究実施計画に則り、CPC担持ポリマー粒子配合レジンを試作し、試作レジンからのCPC溶出性、およびリチャージ特性の評価を行って、前述のような結果を得た。 以上のことから本研究の進捗は、おおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度に得られた結果に基づいて、CPC担持ポリマー粒子配合試作レジンの抗菌効果の評価、および物性の評価を行う。
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Causes of Carryover |
上述のように、500μg/mLのCPC水溶液に試作レジンを5分間浸漬してCPCのリチャージを行うことで、C. albicansに対するCPCの有効濃度以上のCPC溶出を維持できることが確認できた。 そのため、有効濃度以上のCPCの溶出が維持できなかった場合に予定していたリチャージ条件(CPC水溶液の濃度や浸漬時間など)の検討に係る試薬、消耗品を平成28年度に購入する必要がなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、試作レジンの抗菌効果を評価するため、培地や試薬、また吸光度測定等のための器材を購入する。さらに、CPC担持ポリマー粒子の配合による物性への影響を評価するため、それに係る器材を購入する必要がある。また、これらの研究遂行に係る消耗品は、上記の研究計画に則り必要性を吟味し効果的に使用する。
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