2016 Fiscal Year Research-status Report
口腔扁平上皮癌におけるチロシンホスファターゼPRL-3の機能解析
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16K20579
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
吉田 祥子 岡山大学, 大学病院, 医員 (00616047)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | PRL-3 / 口腔扁平上皮癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
口腔扁平上皮癌一次症例131例、口腔上皮異形成32例、正常口腔粘膜上皮20例について免疫組織化学的染色を行い、PRL-3の発現と臨床病理学的因子との関連を解析した。大腸癌、胃癌など口腔癌以外の癌では、PRL-3の発現は頸部リンパ節転移との相関を認めると報告されているが、口腔扁平上皮癌では予想に反してリンパ節転移との相関を認めなかった。むしろ、高分化型あるいはYK-1、2、3においてPRL-3の発現上昇を認め、分化度および浸潤様式との相関を認めた。また、上皮異形成においても正常組織と比較してPRL-3の発現上昇を認め、4-nitroquinoline 1-oxide (4NQO)誘発ラット発癌モデルにおいても、上皮異形成および扁平上皮癌はPRL-3の発現上昇を認めた。以上の結果から、口腔扁平上皮癌においてPRL-3は、発癌に影響を及ぼす一方で、癌の浸潤を抑制している可能性が示唆された。これらのメカニズムに上皮間葉転換(EMT)が関与しているのではないかと考え、EMTにおいて消失し上皮細胞形質を示すE-カドヘリン(CDH1)に注目し、ヒト口腔扁平上皮癌細胞株(HSC-4細胞はPRL-3を高発現することを確認している)におけるPRL-3とE-カドヘリン(CDH1)のmRNA発現を定量的RT-PCR法により解析した。その結果、両者は同様の発現パターンを示し、口腔扁平上皮癌においてPRL-3は、E-cadherinと相互作用する可能性が推察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
免疫組織化学的染色によってPRL-3は発癌および癌の浸潤を抑制している可能性が示唆された。また、口腔扁平上皮癌細胞株HSC-4細胞におけるPRL-3の mRNA発現を定量的RT-PCR法により解析した。そのため、「口腔扁平上皮癌におけるチロシンホスファターゼPRL-3の機能解析」という目的は順調に進行していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在口腔扁平上皮癌細胞HSC-4へのPRL-3 siRNA発現プラスミドDNAの遺伝子導入および PRL-3 siRNA安定導入株(PRL-3 RNAi transfectant)作製の計画途中であり、継続を行う。次に In vitroでのtransfectantにおける細胞増殖能、malignant phenotype(浸潤能)の検討、In vivoでのtransfectantにおける増殖、浸潤、転移、分化能の検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
研究が順調に進行し消耗品の購入が減ったため次年度への繰越金368,600円が生じた。しかし、結果の確認と動物実験を行うために次年度への繰越金は必要である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度の遺伝子導入と動物実験に使用予定である。 また、国内外での成果発表を予定しており、学会参加費100,000円を計上する。外国語論文の校閲50,000円や研究成果の投稿料と印刷費120,000円を計上する。
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