2016 Fiscal Year Research-status Report
唇顎口蓋裂患者iPS細胞由来骨芽細胞を用いた低侵襲骨再生療法の確立
Project/Area Number |
16K20619
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
加藤 宏 東京歯科大学, 歯学部, 非常勤講師 (10755036)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | iPS細胞 / 骨再生 / 唇顎口蓋裂 |
Outline of Annual Research Achievements |
顎裂部骨移植において自家骨移植に代わる自己iPS細胞由来骨芽細胞を用いた低侵襲骨再生療法の確立を目的として、本年度は研究計画書に従って、同意を頂いた唇顎口蓋裂患者由来iPS細胞の樹立と骨芽細胞誘導を実施している。本研究は本学倫理申請に則っており、今回は同意が得られた9歳の唇顎口蓋裂患者から手術時に生じた余剰口腔粘膜組織を採取させて頂いた。outgrowth法により線維芽細胞を得て、それらに産業技術総合研究所より提供を受けたセンダイウィルスベクターを用いて初期化遺伝子導入を施行した。未分化能・多分化能について評価を行った後、われわれが確立した骨芽細胞誘導法にて誘導を行い、骨芽細胞マーカーの発現、硬組織誘導能の評価を行っている。 結果としては、センダイウィルス感染後28日でヒトES細胞様コロニーの出現を多数確認した。3度の繰り返し実験を行い、再現性を確認した。アルカリホスファターゼ染色にて陽性反応を示し、未分化マーカーがRT-PCR法にて検出された。また、テラトーマ形成により組織学的に外胚葉・中胚葉・内胚葉の3胚葉分化が観察され、多分化能を認めた。以上より遺伝子挿入により得られた細胞はiPS細胞として相違ないと考える。その後、唇顎口蓋裂患者由来iPS細胞は骨芽細胞誘導を行った。Real Time PCR法により骨芽細胞マーカーの発現を認め、特にタイプⅠコラーゲン、アルカリホスファターゼの優位な発現上昇を認めた。誘導30日後にはアリザリンレッド染色にて著明な陽性反応を示し、硬組織誘導能も示唆された。これらの細胞は骨芽細胞と同等と考えられ、細胞移植による骨再生療法の細胞源として有用と考える。来年度は実験動物に細胞移植を行うことで、生体内での硬組織誘能・有害事象等の検討を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究初年度の目標である唇顎口蓋裂患者iPS細胞の樹立と骨芽細胞誘導は達成している。活性型ビタミンDの作用についても現在進行中であるが、まだ結果の評価中である。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き研究計画書に則って研究を遂行する。研究協力者として大学院生の協力が得られるため、マンパワーの改善が期待され、研究促進に繋がると考える。
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Causes of Carryover |
3月に発注しようと予定していた実験試薬が未発注であり繰り越し金額が生じてしまっている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験試薬を発注・納品され次第、初年度の未実施分の実験を予定している。 次年度の研究計画は予定通り行う運びとなっているため使用額の変更はない。
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Research Products
(1 results)