2017 Fiscal Year Research-status Report
抗がん剤投与ラットにおけるユビキノールの口腔粘膜炎予防効果の検討
Project/Area Number |
16K20693
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
米田 俊樹 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (60756071)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 口腔粘膜炎 / 5-フルオロウラシル / ユビキノール / 動物実験 / 化学療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
がん化学療法による有害事象の一つに口腔粘膜炎がある。その発症には、抗がん剤投与による酸化ストレス状態(組織中で、活性酸素種が過剰に存在している状態)が関与しており、酸化ストレス状態を軽減することで口腔粘膜炎を予防できる可能性がある。一方、ユビキノールは抗酸化物質であり、口腔粘膜で産生される酸化ストレスを消去する能力がある。本研究の目的は、ユビキノールの口腔粘膜炎発症予防効果について検討することである。今年度は、ユビキノールの効果を検討する前段階として、まず、抗がん剤投与ラットにおける口腔粘膜炎モデルを確立することを目的とした。 8週齢Wistar系ラット10匹を、「抗がん剤投与+50%酢酸貼付」群(実験群)5匹と「生理食塩水投与+50%酢酸貼付」群(コントロール群)5匹の2群に分けた。1日目および3日目に、吸入麻酔下で抗がん剤(5-フルオロウラシル:5-FU)(1日目:100mg/kg、3日目:65mg/kg)または生理食塩水を腹腔内投与した。また、3日目には、50%酢酸を直径3mmのろ紙に浸透させ、30秒間舌下面に貼付した。その後、舌下面の状態を経時的に観察した。 実験群のうち2匹では、5日目に潰瘍を伴う口腔粘膜炎が発生した。一方、コントロール群ではいずれのラットにおいても、5日目においても潰瘍を伴う口腔粘膜炎が発生しなかった。このことから、5-FUの腹腔内投与と舌下面への酢酸の貼付により、5日目に潰瘍を伴うことが確認されたが、再現性のある口腔粘膜炎モデルを確立するためには、酢酸の貼付時間を延長するなどの検討が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
化学療法に伴う口腔粘膜炎のラットモデルの確立に時間を要したため
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Strategy for Future Research Activity |
酢酸の貼付時間を延長し、再現性のある口腔粘膜炎モデルを確立する。
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Causes of Carryover |
口腔粘膜炎モデルが確立できていないため、平成29年度予定していた軟膏に配合するユビキノール濃度の決定に関する実験を行っておらず、次年度使用額が生じた。 今後は、酢酸の貼付時間を延長し、再現性のある口腔粘膜炎モデルを確立するための動物実験を行う。 また、口腔粘膜炎モデルが確立されたら、軟膏に配合するユビキノール濃度の決定に関する動物実験、および口腔粘膜炎に対するユビキノール配合軟膏塗布の効果の検討を行うための動物実験を行う。
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