2016 Fiscal Year Research-status Report
末梢静脈怒張法に関するガイドライン作成に向けた試み-タッピング法の効果の検証
Project/Area Number |
16K20741
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Research Institution | Kibi International University |
Principal Investigator |
市村 美香 吉備国際大学, 保健医療福祉学部, 講師 (80712281)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | tapping / vasodilation / venipuncture / venous palpation |
Outline of Annual Research Achievements |
採血などの末梢静脈穿刺では、駆血しても静脈の目視や触知の程度(以下、静脈怒張度)が低い、いわゆる血管が浮きにくい人に対して、マッサージや叩く(以下、タッピング)方法が推奨されており、実際にもよく行われている。しかし、これらの方法の静脈怒張効果を詳細に検証した研究はほとんどなく、効果が不確かなまま経験的に実践されている現状がある。これまでの研究成果から、静脈怒張を高める方法としてタッピング法が有効であるという知見が得られたが、これは血管が浮きにくい人だけを対象とした結果ではない。本研究では、対象を血管が浮きにくい人に限定し、血管が浮きにくい人に対してもタッピング法が有効な静脈怒張法であるかを前研究と同様の方法で検討することを目的とした。このように、対象を血管が浮きにくい人とすることで、静脈穿刺が困難なケースを想定した、より実際に近い評価ができると考えている。 平成28年度は、次年度から本実験を開始するための準備を行った。まず、研究計画書を所属機関の倫理委員会に提出し、承認を得た。そして、本研究を遂行するために必要な種々の実験機器を購入・整備した。本研究では、リアルタイムで静脈の変化を直接的かつ連続的に観察・記録することができる超音波診断装置(以下、エコー)を用いて、静脈の断面積・深さ・膨らみの高さを測定する。エコーには様々な種類があるが、本研究のように静脈を扱うときには専用のプローブを用いて血管断面積や血流などが描出できるものを選択する。使用するエコーの種類や性能が実験データの正確性や実験効率に影響する可能性があるため、その選定には時間を要し、前倒し支払請求の手続きも行った。さらに、実験方法を再検討するとともに、実験手技を熟練させデータの信頼性を確かなものとするための予備実験とトレーニングを行った。これと同時に、本研究で対象とする血管が浮きにくい被験者の確保にも努めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は、①所属機関の倫理委員会で承認を得ること、②実験方法の再検討と予備実験および実験手技のトレーニングを行うこと、③被験者の人数確保を行うことを計画立案していた。 まず上記①については、研究計画書を所属機関の倫理委員会に提出し、承認を得ることができた。上記②については、予備実験と実験手技のトレーニングを行うことができた。しかしながら、実験手技を熟練させデータの信頼性を確かなものとすることに関しては、タッピング手技の統一を含めた実験手技の習熟度が十分とはいえない状況にあるため、本実験に移行できるようにトレーニングを継続していく必要がある。上記③については、本研究で対象とする血管が浮きにくい被験者の確保に努めたが、予定人数の確保までには至っていない。他方、研究計画策定の当初、被験者確保に時間がかかり研究スケジュールが計画どおりに進まないことに対する方策として、該当する被験者が確保できれば予定を繰り上げて本実験を開始することを予定していた。しかしながら、上述のとおり実験手技の習熟度が十分とはいえない状況にあることから、本実験を開始することを延期している。この点においても、実験手技の習熟度を上げる必要性を急務と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、本実験を開始してデータの集計を行うことを計画立案している。この計画を遂行するためには、初年度の課題として残った実験手技の習熟度を上げ、予定人数の被験者確保が急務となる。申請者は、研究協力者とともに実験手技のトレーニングに邁進すると同時に、被験者確保の広報活動にも積極的に取り組んでいく所存である。 研究方法に関しては、現時点での変更は予定していない。しかしながら、初年度に前倒し支払請求の手続きを行ったことにより平成29年度以降の予算計画を修正しているため、データ集計にかかる人件費の削減を行う。データ集計の効率化の目途は立っており、この予算計画の修正が本研究に与える影響はほとんどないと考えている。 他方、本研究の成果を広く知っていただくために、関連分野の学術集会への参加を積極的に行う予定であり、学会発表や海外誌への論文投稿のための準備を行っていく予定である。
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