2017 Fiscal Year Research-status Report
精神科看護師が長期入院患者に抱く倫理的悩みや葛藤、感情のあり方の検討
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16K20836
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Research Institution | Japan University of Health Sciences |
Principal Investigator |
板橋 直人 日本保健医療大学, 保健医療学部看護学科, 講師 (80570275)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 精神科看護師 / 長期入院患者 / 倫理的悩み / 感情労働 / 感情指数 |
Outline of Annual Research Achievements |
精神科看護師は長期入院患者に対して、組織の方針や様々な現実的な制約によって、先の見えないかかわりを強いられていることが推察され、やむを得ないと自分を納得させ、法的にも認められていると認識していても、看護師は後ろめたいような申し訳ないような気持ちに苛まれながら日々のケアを実践していると報告されている。 これらを踏まえ、精神科看護師は、長期入院患者に対して倫理的悩みを抱きながら、看護実践しているのか、また、自身の感情を調整しながら長期入院患者に示す感情的な関わりを行っているのかを明らかにしたいと考えた。 本研究の目的は、第1に精神科看護師が長期入院患者に対して抱く、倫理的な悩みや葛藤、および感情のあり方を明らかにする。第2に精神科看護師が長期入院患者に対して抱く、看護実践上での倫理的悩みや葛藤、感情のあり方に対して、どのように対処しているのかのプロセスを明らかにする。これらから、地域移行支援における看護師の課題や現任教育のあり方を検討することである。 第1段階として、調査用紙を用いて長期入院患者の看護ケアを実践している精神科看護師に倫理的悩み尺度精神科版と看護師の感情労働尺度を使用して調査を計画していたが、患者に示す感情的な関わりだけでなく、看護師自身の感情指数からも大きい影響を受けていると考えられたため調査用紙の再検討を行った。その結果、その感情指数を測定できる 日本語版WLEISを追加して調査するに至った。現在、研究協力者の確保のため調査協力を予定していた医療機関より範囲を拡大し、調査を継続し、順次、データを収集し、解析を行っている。 第2段階の研究調査は、第1段階で得られた結果から、インタビューガイドの検討を行い、インタビューの準備が整い次第、行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
昨年度からの遅れがあるが、計画していた調査用紙の再検討を行い、新たに使用する尺度を検討し調査項目を追加に至った。 また、調査協力を予定していた地域の医療施設へ依頼したが、調査協力が得られず研究協力者の確保に至っていない。そのため、予定していた地域を拡大し、研究協力者の確保に尽力している。医療施設への研究協力依頼に関して、日々、長期入院患者の看護ケアを実践している精神科看護師が研究協力者という認識が強いと考えられる。そのため、研究協力者は、長期入院患者へのケアを実践した経験のある精神科看護師と強調し依頼を行っていく。 以上の理由から、本研究課題の進捗状況に影響し、遅れているものである。
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Strategy for Future Research Activity |
研究課題の進捗状況が遅れているため、必要な研究対象者の確保が必要である。そのため調査対象となる精神科医療施設への協力依頼を当初予定していた地域以外にも協力を依頼する。 平成30年度は、長期入院患者に対する看護実践を通して倫理的な悩みや葛藤が生じたか、また生じた際にどのようにその悩みや葛藤を認識し、どのように対処したかのプロセスを主観的体験に基づいて半構造的面接を行いデータを収集する。そのため、インタビューガイドの検討を第1段階の研究結果の踏まえて進め、研究対象者の協力について、現在行っている調査と合わせて行って行きたいと考えている。
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Causes of Carryover |
理由として大枠では、調査による必要な研究協力者の確保ができていないため生じている。また、第2段階の計画が遂行できていないため研究協力者に支払う謝金が発生していないためである。予定していた旅費は、学会への参加が勤務している大学の規定上、支払われたため旅費を使用しなかったためである。 使用計画は、研究協力を依頼し、調査用紙の印刷や郵送費に充てるとともに、第2研究におけるインタビューにて協力していただいた研究協力者に謝金を支払いやインタビューデータを外部に委託しデータ化の費用に計画通り充てる。
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