2017 Fiscal Year Research-status Report
構造推定アプローチを用いたヘッジファンド産業とマイクロ・ペイメント産業の分析
Project/Area Number |
16K20981
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
若森 直樹 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 講師 (50770921)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | マイクロ・ペイメント産業 / ヘッジファンド産業 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究プロジェクトは,「ヘッジファンド産業」と「マイクロ・ペイメント産業」に着目し,それらの分野に構造推定を持ち込みより政策に役立つ分析を行うことを目標としています. まず「ヘッジファンド産業」に関しては,昨年度のヒアリングなどを基に「ヘッジファンドの解約条項」という特性に注目し,主にデータを用いた実証分析を開始しました.特に各方面から期待されているヘッジファンドへの規制の影響を測定するために,まずは解約条項がリターンとどのように関係しているのかを把握すると同時に,それらの解約条項が投資家の行動にどのような影響を与えているかを(構造推定の一つである)需要関数の推定手法を用いて分析しました.概ね(誘導系で行われる)先行研究と似たような結論を得つつ,需要関数の推定手法を用いて新たな知見を得ることに成功しました.現在は供給サイド(ヘッジファンドがどのように解約条項を決めているか)のモデル化を行っていますが,先行研究が全く存在しない分野のため,まだ新たな知見を確立するには至っておりません. また,「マイクロ・ペイメント産業」に関しては日本のデータがなかなか入手しづらいことから,理論的な側面からのアプローチに切り替え,どのようなデータが入手可能であれば興味のあるパラメータが識別できそうかを考えています.また,データに測定誤差(measurement errors)があるときには推定値がどのような性質を持つのかを明らかにしました.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
まずヘッジファンド産業の研究がやや遅れている理由として,平成29年度には供給側(ヘッジファンドの行動)をモデル化する予定でいましたたが,モデルの推定結果(データとのフィット)が予想よりも悪いため,モデル化の作業に難航している点が挙げられます.この点に関しては業界へのヒアリングや学会での情報収集などを通じて,実際にはどのようにヘッジファンドが行動していると考えられるのかを今一度考え直し,モデル化に当たりたいと考えています.またマイクロ・ペイメント産業の研究がやや遅れている理由は,(昨年度の進捗状況の通り)収集したデータの質があまりよくないため,スピン・オフの研究に従事しているためです.ただ,スピン・オフの研究は計量経済学的な研究であり,研究の進度は比較的早いので,最終年度に挽回したいと考えています.
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Strategy for Future Research Activity |
現時点で「ヘッジファンド産業」の研究については一定の知見が得られているので,そこまでをまとめた論文を執筆したいと考えています.また,供給サイドの知見も固まり次第,順次論文にしたいと考えています.「マイクロ・ペイメント産業」の研究についても,データに測定誤差(measurement errors)があるときには推定値がどのような性質を持つのかを1つの論文としてまとめたいと考えています.
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Causes of Carryover |
(次年度使用額が生じた理由)必要だと考えていたデータの購入が必要なくなったこと、データ・クリーニングを私自身で行ったためアシスタントを雇う必要がなくなったためです。 (使用計画)情報収集を行うため国内外で開催される学会へ行く旅費に充当する予定しています。
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