2019 Fiscal Year Research-status Report
漁業協調に向けたリスクコミュニケーションへの研究機関の関わり方
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16K21092
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
竹内 彩乃 東邦大学, 理学部, 講師 (20769252)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 洋上風力発電事業 / 漁業協調 / リスクコミュニケーション / 学際的研究領域 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、洋上風力発電事業を推進する上で、関係主体である漁業関係者と事業者がリスク認識を共有し、漁業協調の取り組みに主体的に関われるようにするためのリスクコミュニケーションのあり方について、主に研究機関の役割に着目して明らかにすることを目的としている。 新潟県村上市の事例研究から、第一に、地元行政の関与と早期のコミュニケーションが漁業協調を行う上で重要であること、第二に、漁業関係者の発言を促す上で、漁業関係者が参加しやすいテーマを選択し、シミュレーションなど、ビジュアル化された情報提供を行うことが重要であることが明らかとなった。ドイツの洋上風力発電事業と漁業協調に関する文献調査、研究者へのヒアリング調査から、研究プロジェクトのほとんどが実証事業Alpha Ventusで行われていること、研究開始当初はデータベース作成が目的で徐々に共同評価や多様な主体の共同を目指していること、生態系の研究者だけでなく社会科学者が関わることが増え、学際的研究が必要であることが示唆された。 今年度は、長崎県五島市を事例対象として再選定し、洋上風力発電などの再生可能エネルギーを漁業振興に繋げるための検討を行う「五島市離島漁業振興策研究会」の取り組みを参与観察した。再生可能エネルギー事業に関わる委員会で個別の漁業協調のための事業について検討することは困難であるため、漁業協調を目的とした専門家を含む委員会を設立することが有効であると示唆された。また、専門家が、専門的な助言をするだけでなく、新しい事業構築を一緒に行うことで実績ができたことで、漁業振興に関わる自治体の政策形成に寄与していたことがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度は、当初の計画通り、新潟県村上市の国内事例調査を実施し、漁業者と事業者のリスクコミュニケーションの課題について整理することができた。二年目に研究者の体調不良により国外調査を見送ったことにより、大幅な遅れが生じた。三年目に、国外調査を実施し、ドイツにおける漁業協調における研究者の関わり方についてヒアリングを実施することができた。国内において洋上風力発電事業の推進に漁業者が積極的に関わっている五島市の事例研究も進めることができており、概ね順調に進んでいるが、多少の遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画を基本とし、国内事例の調査については、引き続き事例研究を続ける予定である。
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Causes of Carryover |
一昨年度の研究計画の遅れにより、海外出張が先延ばしになり、論文執筆作業が遅れたため。長崎県五島市他における現地調査旅費に加え、論文執筆にかかる英文校正、学会誌投稿料、学会参加費として使用する。
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