2016 Fiscal Year Research-status Report
小児メタボリックシンドローム及び脳神経機能に対する有酸素性運動とDHA摂取の効果
Project/Area Number |
16K21544
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Research Institution | Kyushu Sangyo University |
Principal Investigator |
中尾 武平 九州産業大学, 健康・スポーツ科学センター, 講師 (90522300)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 有酸素運動 / ドコサヘキサエン酸 / 小児肥満 / メタボリックシンドローム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、有酸素性運動とドコサヘキサエン酸(DHA: Docosahexaenoic acid)摂取が小児肥満・メタボリックシンドローム(MetS)、及び脳神経機能に及ぼす影響を明らかにすることである。近年、食の欧米化(高脂肪食、DHA摂取量の減少)、身体活動量の減少などにより、小児肥満・MetSや脳神経機能の異常(神経変性疾患、運動神経の発達障害等)が急増している。本研究では普通食と高脂肪食の異なる生活環境における小児マウスに対して有酸素性運動とDHA摂取を行い、小児肥満・MetSの予防・改善効果、脳神経機能改善による発育発達への影響を運動生理学的、神経病理学的、行動学的に検討する。また、小児肥満・MetS改善、脳神経機能・運動機能の発達に効果的な運動様式やDHA摂取量の提言を目指す。 本年度は、①遺伝子改変による生活習慣病モデルマウス(GPR120KOマウス)、②高脂肪食(HF)飼育マウス、③トランス脂肪酸(TF)を多く含むトランス高脂肪食で飼育した生活習慣病マウスを作製し、運動機能解析・神経機能解析を行った。GPR120KOマウス、HF、TF飼育マウスは普通食マウスに比べ育児放棄率が高かった。ローターロッドを用いた運動機能解析においてGPR120KOマウス、HF、TF飼育マウスはすべて運動機能の低下が見られた。Y字迷路を用いた記憶学習能試験においてGPR120KOマウス、TF飼育マウスにおいて低下が見られた。さらに、GPR120KOマウス、TF飼育マウスは脳内における記憶学習に関わる分子群(神経細胞のマーカー分子、神経栄養因子、インスリンシグナル)の発現低下が見られた。HFは神経機能に必要なω-3脂肪酸(DHAなど)を含んでいたため、記憶学習能が保たれたと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
高脂肪食(HF)、トランス脂肪酸・高脂肪食(TF)マウスは、育児放棄率が高く、繁殖が困難で実験に必要なマウスの頭数を揃えるのに苦労した為。また、研究棟の工事により数か月研究中断期間があった為。
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Strategy for Future Research Activity |
普通食と高脂肪食環境下の小児マウスを用い、①コントロール群、②運動群、③運動+DHA1摂取群の3群における比較検討を行う。まずは普通食環境下の小児マウスの形態、体脂肪率、炎症性メディエーター、脳機能などの加齢変化、運動とDHA摂取の効果を運動生理学的、神経病理学的、行動学的に比較検討する。その後は、高脂肪食環境下において、普通食小児マウスと同様の検証を行い、食環境、運動、DHA摂取量の違いが小児マウスの発育発達、及び脳神経機能に及ぼす影響を検討する。さらに、GPR120KOマウスの脳神経機能も明らかにする。期間内に本研究を発展させ、身体運動とDHA摂取を基軸とした、小児肥満・MetS、及び脳神経機能異常の予防・改善策の提言を目指す。
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Causes of Carryover |
高脂肪食(HF)、トランス脂肪酸・高脂肪食(TF)マウスは、育児放棄率が高く、繁殖が困難で実験に必要なマウスの頭数を揃えるのに苦労した為。また、研究棟の工事により数か月研究中断期間があった為。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
普通食環境下の小児マウスの形態、体脂肪率、炎症性メディエーター、脳機能などの加齢変化、運動とDHA摂取の効果を運動生理学的、神経病理学的、行動学的に比較検討する。 その後、高脂肪食環境下において、普通食小児マウスと同様の検証を行い、食環境、運動、DHA摂取量の違いが小児マウスの発育発達、及び脳神経機能に及ぼす影響を検討する。さらに、GPR120KOマウスの脳神経機能も明らかにする。
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