2017 Fiscal Year Annual Research Report
Development of PET imaging diagnostics to assess pathological cascade in Alzheimer's disease
Project/Area Number |
16K21636
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Research Institution | National Institutes for Quantum and Radiological Science and Technology |
Principal Investigator |
下條 雅文 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 脳機能イメージング研究部, 研究員(任常) (20455348)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | グルタミン酸受容体 / PET / タウ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、アルツハイマー病発症機序における神経機能病態の解明とその画像診断法の確立を目指し、mGluR5グルタミン酸受容体に着目してその分子動態の解析と、認知症モデルマウス脳におけるバイオマーカーとしての有益性の検証に取組んだ。平成29年度は、前年度までに確立されたmGluR5特異的PETプローブ[11C]ABP688によるPET撮像法を利用して、rTg4510系統タウ病変モデルマウスの神経機能病態を評価する画像診断バイオマーカーとしての有益性を検証した。病態進行度の程度が異なる月齢のrTg4510マウス脳において、小脳を参照領域とした[11C]ABP688結合能のPET定量解析を実施し、平行してMRI形態学的解析により脳萎縮の進行度を評価した。5ヶ月齢のrTg4510マウス脳では、皮質や海馬など前脳領域において[11C]ABP688結合能の有意な低下が観察され、これらは前脳におけるタウ病変PETプローブ[11C]PBB3により検出される脳内タウ蓄積の亢進時期や脳体積の低下開始の時期ともよく一致した。タウ病変が生じない線条体領域においては、若齢期から[11C]ABP688結合能が低下している所見が観察され、[11C]ABP688を指標とする解析には脳領域依存的な相違がある事も見出された。また、炎症性ミクログリアマーカーであるTSPOに対するPETプローブ[11C]AC-5216による解析により、同モデル動物脳では早期より神経炎症の亢進が生じている事も見出されており、神経機能病態との因果関係も示唆された。薬理学的操作に応答したグルタミン酸受容体の動態解析を引き続き検証中である。
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