2016 Fiscal Year Research-status Report
堅果類の豊凶周期パターンの変化が哺乳類成長動態に与える影響解析
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16K21702
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
小坂井 千夏 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 中央農業研究センター 虫・鳥獣害研究領域, 任期付研究員 (90637670)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 豊凶周期 / 堅果 / ツキノワグマ / 個体群動態 / 成長動態 / 博物館資料 / 頭骨 |
Outline of Annual Research Achievements |
堅果類の豊凶がツキノワグマ等の大型哺乳類の行動に与える影響の解明は進んできたものの、気候変動によると考えられる堅果類の豊凶周期パターンの変化が大型哺乳類の個体群動態に与える影響は明らかになっていない。本研究ではツキノワグマを対象として、堅果類の豊凶周期パターンが異なる年代で成長、繁殖率を比較することで、中・長期的な個体群動態への影響を踏まえた農業被害対策や個体群管理、生息地管理を検討するための基盤となる知見を得ることを目的とする。 今年度は豊凶周期パターンの情報取集、ツキノワグマの頭骨標本の整理、計測、年齢および繁殖率推定のための歯の年輪解析に着手した(作業の一部は東京農工大学学生に依頼した)。なお、研究開始前に把握していた標本数では不足気味であった東北地方の2000年代以降の標本について、新たに利用できる標本を準備できたことでより良いデータセットを整備できた。また、個体群動態を考える上で重要なメスの定住性について検証した論文を投稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
歯の年輪計測については次年度にまとめて行うこととしたために当初の計画から遅れている部分がある。しかし一方で、当初の計画にはない標本を利用できることとなりより良いデータセットが準備できたこと、一部計測データについては既存データを利用できることとなったため、全体としてはおおむね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
頭骨計測はおおむね終了していることから、今後は主に歯の年輪解析のための切断切片の作成、年輪幅の計測を進める。これらの計測終了後、性、地域個体群、豊凶周期パターンが異なる年代等のグループ毎に成長、繁殖率を比較し、それぞれの特徴を明らかにする。また、豊凶周期以外で個体の成長、繁殖率に影響を与える可能性のある要因の検討も行う予定である。
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Causes of Carryover |
新たに利用できる標本が増えたこと等によって、本格的な標本処理、計測作業を平成29年度にまとめて実施することとし、また、一部で既存の計測データを利用できることとなり、予定していた旅費等の支出が少なくすんだため、次年度使用額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額1,524,795円は、標本の処理作業等にかかる人件費・謝金、効率的な歯の年輪計測に必要な画像解析ソフト等の購入費として使用する。
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