2016 Fiscal Year Research-status Report
β-Klotho/FGF15システムの新規標的分子の同定と胎児発育への寄与の解明
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16K21714
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Research Institution | Foundation for Biomedical Research and Innovation |
Principal Investigator |
小林 加奈子 公益財団法人先端医療振興財団, その他部局等, その他 (10724106)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | β-Klotho / FGF15 / 胎児発育 |
Outline of Annual Research Achievements |
低体重出生児は、成人後に糖尿病や脂質異常症などの代謝疾患を発症するリスクが高いことが知られているが、胎児の発育を制御するメカニズムには不明な点が多い。 成体マウスにおいて、肝臓に発現するβ-Klothoは、小腸から分泌されるFGF15と協調して標的分子の遺伝子発現を抑制し、胆汁酸合成と脂質代謝を制御する(β-Klotho/FGF15システム)。胎生期においては、β-Klothoは卵黄嚢、FGF15は胎仔(胚)に高発現を認める。胎生期におけるβ-Klotho/FGF15システムの役割は明らかになっていないが、β-klotho欠損マウスとFgf15欠損マウスの胚がいずれも発育抑制を呈することから、胚の発育に寄与している可能性が示唆される。 本研究では、胎生期におけるβ-Klotho/FGF15システムの役割を明らかにすることを目的として、標的分子の同定を行う。さらに、標的分子の機能を起点として、胚の発育制御に関わる分子メカニズムの解明を目指す。 今年度は、胎生期におけるβ-Klotho/FGF15システムの標的分子の同定を行った。これまでの研究から、①標的分子はβ-Klothoと同じ臓器に発現する、②標的分子の遺伝子発現はβ-klotho欠損マウスとFgf15欠損マウスで同じ挙動を示す、という特徴が明らかになっている。そこで、まずRNAシーケンスを行い、β-klotho欠損マウスの卵黄嚢において、有意な発現変動を示す遺伝子を標的分子候補として抽出した。次に、Fgf15欠損マウスの卵黄嚢における候補分子の遺伝子発現を定量PCRで検討し、ある栄養素に関わる分子の発現の挙動がβ-klotho欠損マウスと一致することを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り、胎生期におけるβ-Klotho/FGF15システムの標的分子を同定することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
胎盤が完成するまでは、母体から胚への栄養供給は卵黄嚢を介して行われる。したがって、β-Klotho/FGF15システムによる標的分子の発現制御が破綻すると、胚に代謝レベルで影響が現れる可能性が考えられる。次年度は、標的分子が関わる栄養素を中心に、β-klotho欠損胚およびFgf15欠損胚の代謝物プロファイルを解析する。
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