2019 Fiscal Year Annual Research Report
Comparative Research on the Interactions between the Cold War and Decolonization: The Cases in Asia and in the Middle East and North Africa (Fostering Joint International Research)
Project/Area Number |
16KK0071
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
池田 亮 東北大学, 国際文化研究科, 准教授 (60447589)
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Project Period (FY) |
2017 – 2019
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Keywords | 脱植民地化 / 冷戦 / 西側同盟 / イギリス |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度にロンドン滞在中にベスト博士と協議した内容に基づき、スエズ戦争に向かうイギリス政府の動機、およびスエズ戦争に問題がいかに決着したかを検討した。スエズ運河の再開(スエズ危機の終了)に際して、アメリカがエジプト資産封鎖を通じて強い経済圧力を行使したこと、およびそれによってエジプトの譲歩を引き出したことを分析した。一般的にスエズ危機は、イギリスが戦争に訴えたものの、アメリカを含む国際圧力を受けて不十分な解決を強いられたと議論される。しかし実際は、アメリカがエジプトから譲歩を引き出すのに大いに貢献しており、イギリスに有利な解決を導くのに貢献したと言える。具体的には、実質的な運河の国際統制を意味する、国際司法裁判所の強制管轄権をエジプトが受諾するにあたり、アメリカからの圧力が大きな意味を持った。 また、同様にベスト博士との協議に基づき、イギリスにとっての経済利権の重要性も加味して分析を行った。通常の議論では、スエズ運河の再開の際にイギリスはエジプトの提示した条件が不満であったにも拘わらず、アメリカなどの国際圧力よって受諾させられたとする。しかし実際は、イギリスは経済的損得計算に基づいてエジプトの条件を黙認する形で受諾したのであった。むしろアメリカはエジプトにより強い圧力を加えることを主張していたのに対して、これをイギリスが経済的理由から拒絶してエジプトとの妥協を選んだのであった。 この内容を、2019年6月にアメリカの学会(SHAFR, Society for Historians of American Foreign Relations)にて報告し、2020年1月に日本国内で開催された研究会でも報告した。今後この発表に基づいて論文を投稿する予定である。
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Research Products
(4 results)
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[Int'l Joint Research] ロンドン大学(英国)2018
Year and Date
2018-03-30 – 2019-03-25
Country Name
UNITED KINGDOM
Counterpart Institution
ロンドン大学
Co-investigator Overseas
アントニー・ベスト博士
Department
ロンドン政治経済学院国際関係史学部
Job Title
准教授
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