2017 Fiscal Year Research-status Report
多様な働き方に即した産業衛生制度再構築のための国際比較研究(国際共同研究強化)
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16KK0087
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
井上 まり子 帝京大学, 公衆衛生学研究科, 准教授 (20508048)
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Project Period (FY) |
2016 – 2018
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Keywords | 産業保健 / 労働安全衛生 / 労働政策 / 雇用形態多様化 / 非正規雇用 / 社会疫学 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初の計画どおり、平成29年7月1日付で国際労働機関(International Labour Organization:ILO)のVisiting Scholar(客員研究員)に採用され、ILOの調査局に在籍して共同研究を行っている。滞在期間中の前半は主に、非正規雇用や雇用形態多様化の健康影響に関する既存の文献レビューを行い、成果をレビュー論文として国際学術誌と報告書のために執筆した。本研究課題の主たる目的である、欧州と各国の労働安全衛生の政策や実情については、ILO内のデータベースや報告書・書籍を活用すると共に、ILO内の各専門家、同じスイスのジュネーブに拠点があるそのほかの国際機関等の各国の専門家へのヒアリングから情報を得ることができた。 滞在期間中、これまでの研究計画では想定していなかった新しい働き方について知ることになった。科学技術とグローバル化の影響を大きく受けた働き方で、海外で注目が高まっている労働分野の見識を深め、研究対象を広げることができた。現在、こうした新しい働き方についての欧州各国の労働安全衛生政策についても追加で情報を収集し、制度分析に活用している。 研究実施にあたり、滞在先のカウンターパートである研究者と共に、そのほかの職員の方からも様々な支援を受けている。ILO内での多様な講演会や会議等への参加機会を得られたことも貴重な経験である。また、日本の所属先からは共同研究のための長期滞在と往来を許していただいているなど、多方面からの支援を得て研究を進められることに感謝している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた研究計画である、欧州や各国の労働安全衛生に関する情報や、過去の研究についての情報を順調に得て研究を進めることができた。 労働安全衛生に関する法律や制度に関する情報収集は、各国を訪問する予定でいたが、ILOに勤務する各国の関係者や、スイスのジュネーブに本拠地があるほかの国際機関など多様な専門家と会い、情報にアクセスすることができたため、効率的に情報収集することができた。 今後、日本に戻ってからも日本を含めたアジア諸国の雇用形態多様化と健康に関する研究を共同で行う基盤づくりを行うことができた。また、研究実績の概要に述べた新しい働き方についての研究を開始するなどは、当初の予定以外で研究を進展させたことである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、残りの滞在期間で欧州各国の労働安全衛生に関する制度比較分析を行い、論文と報告書として執筆する。また、共同研究の一部として行った雇用形態多様化の健康影響に関する文献レビュー論文は国際学術誌に今後掲載していく予定である。 今回の共同研究を通じて、新たに発生している雇用形態などにも注目することができ、研究成果を世界での課題解決に活用できると認識した。今後も共同研究を継続する中で、日本やアジア諸国の研究フィールドを用いて、従来以上に新しい雇用形態で働く労働者の健康に関する研究を共同研究として続ける予定である。
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Research Products
(6 results)