2016 Fiscal Year Research-status Report
窒素循環を基軸とした大規模農業地域-都市間の食糧循環とその持続可能性の評価
Project/Area Number |
16KT0033
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
福岡 正人 広島大学, 総合科学研究科, 名誉教授 (70117232)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 光代 岡山大学, 環境生命科学研究科, 特任助教 (20512718)
田瀬 則雄 茨城大学, 教育学部, 特任教授 (40133011)
宮岡 邦任 三重大学, 教育学部, 教授 (70296234)
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Project Period (FY) |
2016-07-19 – 2019-03-31
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Keywords | 大規模農業 / 窒素循環 / ブラジル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、世界の食糧・エネルギー需給(循環)の持続可能性を評価していくために、それらの循環量が世界でも最も多い国の一つであるブラジルに注目し、食糧およびバイオエタノール生産の持続可能性について、食糧の主要成分である窒素の循環を軸に評価することを目的とし、初年度である平成28年度は、計画に沿って下記のとおり実施してきた。 (1)農業地域物質循環問題評価:サンパウロ州における数か所の農業流域を試験地とし、サンパウロ大学の研究者と共同で地下水および地表水の調査を定期的に実施し、窒素をはじめとする主要溶存成分および安定同位体などの分析を実施してきた。また、日本側メンバーのブラジル滞在時にはサンパウロ大学の研究者とのミーティングを重ね、関連の研究実績などについての情報交換を行うとともに、円滑な協力関係を構築してきた。また、それらの情報をもとに異なる土地利用からなる農業流域スケールでの窒素収支の評価を試みてきた。 (2)広域農地-都市物質循環影響評価:農地-都市物質輸送評価のための広域窒素収支モデル解析準備のため、サンパウロ州およびブラジルのその他の地域における食糧生産や貿易に関する情報収集を実施してきた。また、サンパウロ州スケールでの準分布型流域水・物質輸送モデル(SWAT)の適用に向けて、ブラジルを対象とした既存研究のレビューに加えて解析に必要な情報(地形、土壌、土地利用、水文観測情報など)の収集を行ってきた。 研究メンバー間では、初年度早々にキックオフミーティングを実施し、その後も定期的に研究会を開催し、既存研究のレビュー、問題意識の共有とともに研究計画の再確認を実施してきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度である平成28年度は、対象地域であるブラジル・サンパウロ州における研究体制(試験地の決定、現地調査・モニタリングの開始、現地研究協力体制)の構築を完了し、関連する既存情報(既存研究、対象地域の地理情報、農業統計情報、水文観測情報など)の収集を実施してきた。また、定期的にメンバー間での議論を行い、情報共有および研究計画の再確認を実施してきた。現地採取試料の分析に一部遅れが生じているが、その点を除いてはおおむね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は、前年度に引き続き試験地での調査・モニタリングおよび既存情報の取集を継続するとともに、収集した情報は順次GISデータベース化していく。また、現地採取試料の分析およびモデル解析についても並行して進めて行く。
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Causes of Carryover |
当初の計画では、対象地域(ブラジル・サンパウロ)での現地調査のため、日本側研究者がそれぞれ約年2回の頻度で現地を訪問する予定であったが、現地のサンパウロ大学との強固な協力関係の構築により、共同研究という形で現地調査の一部を分担していただけることになった。そのため、外国旅費の使用額が減少した。 また、予期せぬ分析機器の不調などにより、現地採取試料の分析作業に遅れが生じ、そのため物品費(分析用消耗品費や薬品費)や人件費(分析補助)が当初の予定より減額となった。さらに、それにあわせて外注分析(安定同位体)のスケジュールを遅らせざるを得なくなったため、外注分析費用(その他)として計上していた額も減少した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、前年度からの繰り越し分を使用して現地採取試料の分析(外注分析を含む)を進めるとともに、引き続き現地での調査および情報収集を継続し、得られた既存情報および調査結果をもとに解析を実施していく。
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Research Products
(19 results)