2016 Fiscal Year Research-status Report
大学教育のグローバル・スタディーズ 競争・連携・アイデンティティ
Project/Area Number |
16KT0087
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
米澤 彰純 東北大学, インスティテューショナル・リサーチ室, 教授 (70251428)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 文 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (10221475)
北村 友人 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 准教授 (30362221)
黄 福涛 広島大学, 高等教育研究開発センター, 教授 (60335693)
黒田 一雄 早稲田大学, 国際学術院(アジア太平洋研究科), 教授 (70294600)
太田 浩 一橋大学, 国際教育センター, 教授 (70345461)
米澤 由香子 東北大学, 国際連携推進機構, 助教 (60597764)
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Project Period (FY) |
2016-07-19 – 2019-03-31
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Keywords | 大学教育 / 国際化 / グローバル・スタディーズ / グローバル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、研究計画にもとづき、下記の作業を進めた。 (1)先行研究の整理:申請メンバーがすでに持つ研究蓄積をもとに、先行研究の整理を行った。具体的には、研究メンバー及びオランダなど海外の専門家との会合・連絡を重ね、その成果のまとめを3月に開催した全体会合(米国・メキシコの専門家が出席)において集約した。 (2)共通の分析枠組みの確立:3月の全体会合において米国・メキシコ、また事前にオランダの専門家およびメンバーと会合を行い、グローバル化からバルカン化など複数の国際枠組みを組み合わせて高等教育の世界的な展開を議論することを前提としたグローバル・スタディーズとしての枠組みを確立した。また、その成果をもとに香港比較教育学会で研究代表者である米澤彰純が基調講演を行い、比較教育研究の第一人者であるMark Bray香港大学教授などとの意見交換を行った。 (3)事例調査(海外・日本)の調査実施準備:研究メンバーの今までの研究蓄積及び先行研究の整理をもとに、(2)で定めた枠組みによる事例調査の実施準備を完了した。メンバーで再度調整を行い、訪問国・大学についての分担等を協議、計画を立てた。海外訪問国は、予定通りオランダ、米国、オーストラリア、韓国、マレーシアとすることを確認した。日本での分析対象についても絞り込みを進めた。 (4)質問表調査の実施:次年度実施を計画していた日本の大学を対象とした国際化を主眼とする質問票調査については、研究補助金の削減があったことを考慮し、研究分担者の黄福涛と協議し、広島大学高等教育研究開発センターのプロジェクトに研究代表者の米澤彰純が参加することで本年度に前倒しして実施を完了し、23.3%の有効回答を得た。データは本研究プロジェクトと広島大学とで共有し、2007年に研究代表者である米澤彰純が行った大学国際化の全国調査との比較ができるよう工夫した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に計画していた作業について、おおむね計画通りにすすめ、また、一部については次年度実施の計画を前倒しで実施できた。 (1)先行研究の整理:8月に日本教育学会でアジア・オーストラリアのリベラルアーツを中心とした大学教育に関する比較についての研究成果の発表を行い、また、大学の世界ランキング対応に関する世界共同研究に参加する形で東アジアの事例についての研究成果を出版、また、アジアの高等教育研究のレビューの編纂を香港大学のJisun Jungらと共に進めた。また、研究分担者の吉田文は、日本のグローバル人材についての論文を英語に翻訳・改訂して発表した。また、研究分担者の北村友人・太田浩は、米澤彰純とともに、ユネスコ・バンコク事務所や研究協力者Kiyong Byun氏らと連携して高等教育国際化に関する文献レビューや評価の研究を進めた。以上に加え、米澤彰純を中心に、グローバル・スタディーズをどのように高等教育の問題と関連されるかについての文献整理を進めた。以上を統合することで、本年度ほぼ計画通りに統合・整理を完了できた。 (2)共通の分析枠組みの確立:実績で示した通り、メンバー間で枠組みを討議したうえで国際学会において外部者との対話を行い、妥当性の検討も行うことができた。 (3)事例調査(海外・日本)の調査実施準備:事例調査の実施準備については、メンバー間の討議を進め、海外調査国の確定などをすすめた。当初本年度に準備の完了をめざしていたが、一部研究を行う上で研究メンバーの入れ替え、具体的には、韓国調査を進める上で韓国語に堪能な研究者、オランダ留学経験者などの協力を得ることなどの検討を行った。以上を踏まえ、日本の事例をふくめ、準備の一部を次年度に持ち越すことにした。 (4)質問表調査の実施:広島大学高等教育研究開発センターとの連携により、追加費用を伴わず前倒しでの実施を実現できた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度には、計画通り、下記の作業を進める。 (1)事例調査(海外・日本)の実施・分析:調査実施準備を年度の早い時期に完了させ、訪問調査の実施・分析を進める。研究メンバー間で緊密に連絡を取るとともに、メンバー外からも協力者を得て、円滑にすすめる。この課程では、オランダ・ユトレヒト大学のvan der Wende氏、香港教育大学のWilliam Lo氏などを本科研で招聘し、ヒアリング・セミナー開催などを進めるとともに、事例研究の実施や分析の妥当性を高めるためのアドバイスや補足情報を得ることを計画している。 (2)質問票調査の分析:研究分担者の黄福涛や研究代表者の米澤彰純を中心に、前年度に実施済みの質問票調査の分析を、広島大学高等教育研究開発センターと連携協力しながら進める。本プロジェクトでは、特に、過去10年間にどのような変化があったかに焦点を当てた分析を進め、事例研究との接合を図る。 (3)研究成果のまとめと出版の準備:国内外での研究成果の発表や専門家との意見交換を進めながら、研究メンバーの間で話し合いを進め、日本語・英語での研究成果の出版準備を進める。具体的には、6月に開催される日本比較教育学会の課題研究で研究代表者の米澤が「脱群盲評象とグローバル・スタディーズ―比較高等教育研究の現代的挑戦」という出版成果につなげるための発表を行う。また、国際開発学会で研究分担者の黒田一雄らと進めた高等教育のグローバルガバナンスについての発表を行うなど、成果出版に向けた準備を着実に進めていく。 平成30年度は、(1)先行研究及び確立ずみの分析枠組みと本研究プロジェクトで得られた知見との統合、(2)事例調査分析成果のまとめ・公表、(3)質問票分析成果のまとめ・公表などを通じて研究成果をまとめ、国内外で学会発表、国際フォーラムの実施を行った上で研究成果を出版する。
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Causes of Carryover |
本年度に実施準備を進めていた質問票調査が研究分担者福涛が所属する広島大学高等教育研究開発センターとのプロジェクトに研究代表者の米澤彰純が共同研究者として加わることで連携することで費用をかけずに実施できた。また、予定していた韓国などの海外共同研究者との研究打ち合わせを、別件の国際会合の場ですることができたため、旅費が節約できた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究補助金全体の削減額を考慮し、次年度研究計画通り国内外の訪問調査を行う上で必要なため、これに使用する。
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Research Products
(20 results)