2016 Fiscal Year Research-status Report
ラテンアメリカの国際労働移動におけるジェンダー・エスニシティによる国際分業の変容
Project/Area Number |
16KT0096
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
松久 玲子 同志社大学, グローバル地域文化学部, 教授 (40239075)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田沼 幸子 首都大学東京, 人文科学研究科, 准教授 (00437310)
渡辺 暁 山梨大学, 総合研究部, 准教授 (20635338)
北條 ゆかり 摂南大学, 外国語学部, 教授 (40263032)
宇佐見 耕一 同志社大学, グローバル地域文化学部, 教授 (50450458)
中川 正紀 フェリス女学院大学, 文学部, 教授 (70295880)
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Project Period (FY) |
2016-07-19 – 2019-03-31
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Keywords | ラテンアメリカ / 国際労働移動 / 移民とジェンダー / 移民とエスニシティ / グローバリデーション / 国際分業 |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年度は、プロジェクト初年度にあたり、ラテンアメリカ域外、域内における南→北、南→南の国際労働移動を研究対象とし、ジェンダーの視点を分析枠組みに導入することにより再生産領域におけるグローバリゼーションおよびジェンダー、階層、エスニシティによる国際分業の再配置と「複数のグローバリゼーション」の実態を明らかすることを目的として計5回の研究会を実施した。 研究会活動として、ゲストスピーカーによる講演、理論枠組みを共有するための読書会、および各自の文献・現地調査に基づく研究発表の3つの活動を実施してきた。第一回研究会では、海外学術交流を促進するため、ゲストスピーカーとしてメキシコ大学院大学准教授のDr. Karine Tinat氏を迎え、メキシコミ・チョアカン州におけるセクシュアリティの表象としての身体性を事例とする講演会を同志社大学FGSS(フェミニスト・ジェンダー・セクシュアリティ研究)センターとの共催で行った。 第2回研究会は、第18期研究会の成果として発表した同研究会の特集執筆者の戸田山祐氏、佐藤夏樹氏、深澤晴奈氏の発表を中心として、特集のレビューを行った。第3回研究会は、理論枠組みの共有のために松久がブックレポートを行うとともに、山内熱人氏、柴田修子氏による研究発表を行った。第4回の研究会では、同研究会社会研究員であるメキシコ国立社会学・人類学高等研究院准教授浅倉寛子氏の研究発表と輪読を行った。第5回の研究会では、中川正紀氏、中川智彦氏によるアメリカ合衆国でのエルサルバドル系移民の在外選挙における政治行動の調査を元にした発表が行われた。 なお、本年度3月には、科研助成費および研究会費を使用して、アメリカ合衆国(渡辺暁氏、北條ゆかり氏、戸田山祐氏、佐藤夏樹氏)、コロンビア(柴田修子氏)の海外調査を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2016年度は、文献調査および担当地域の移民局,研究機関を通じて移民労働者の労働実態を,特に女性の労働者に着目しながら把握する計画をたてた.北米地域、中米地域、南米地域の移民問題に分け、研究メンバーが地域を分担して行うが、2016年度は、アメリカ合衆国への移民を中心として,分担に従い各自文献調査,フィールド調査を行った. アメリカ合衆国でのエルサルバドル移民の出身国の選挙への参加行動,特にジェンダーによる違いに着目しながらアンケート調査を行なったが、科研補助金の交付決定が遅かったため、夏休みに予定していた調査に科研補助費が間に合わなかった。よって、別途研究費から支出したが、継続して調査を行い、2018年度春に科研補助費を使用し再度行う予定である。 アメリカ合衆国へのメキシコ移民の送り出し地域の調査については,メキシコ南部州を中心にユカタン州,オアハカ州出身者の移民団体での聞き取り調査を行った. 科研補助金の交付決定が遅かったため、夏休みに予定していた調査に科研補助費が間に合わなかった部分については、2017年度春休みに調査を開始し、その分の各地域の研究の集約が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
2017年度は、北米を中心とした調査結果を集約し、南―北への移民について国際分業体制の歴史的変容および生産領域と再生産領域のグローバリゼーションのメカニズムを明らかにする。2017年度のフィールド調査は,南米からのヨーロッパへの移民、南米の域内移民を中心に調査を行う.アルゼンチン,コロンビアに関して,送り出し側,受け入れ側のコニュミティの調査を中心に行う.また,アルゼンチンでは移民の社会保障政策を調査する.スペインではグランカナリアデラスパルマス大学研究員の協力を得て,バルセロナを中心にキューバ移民とエクアドル,コロンビアからの移民の調査を行う. 調査を担当者ができない場合は,本プロジェクトの母体となっている同志社大学人文研の研究会の人員を調査にあてる. また、国際学術交流の深化をめざし、7月にメキシコ国立人類学社会学高等研究院(CIESAS)研究者とともに,中米移民に関する研究の中間報告および一般市民向け公開講座を行う. 前年度に引き続き,研究会での文献調査およびフィールド調査の知見を基にした議論を通じて,中心周辺,半周辺と周辺おける労働のグローバゼーション,労働のジェンダー化の質に関する分析を行う.
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Causes of Carryover |
2016年度はアメリカ合衆国への移民を中心として,分担に従い各自文献調査,フィールド調査を行う計画であり、5件の海外調査を予定していた。しかし、2016年度科学研究助成費の内定が7月で遅かったため、2016年度夏の調査の予定が組めず、2017年度3月に海外調査を行った。また、2017年度に調査を変更した場合もあり、海外調査費をすべて執行することができなかった.研究の遂行には、当該地域での調査が不可欠であり、今後も半年遅れで調査を実施する予定である.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
前年度に引き続き,フィールド調査および,隔月一回の研究会を年6回開催する.また,関連研究を行なっている国内の専門家を招き,研究会での講演を1回行う. 2017年度のフィールド調査は,南米からの移民を中心に調査を行入、2016年度に実施できなかった北米における移民調査も継続して行う。各担当者が現地に出向き、文献調査およびインタビュー調査を行う。南米地域を中心に調査を予定しているが、調査先は、アルゼンチン、コロンビア、スペインである。2016年に調査予定のアメリカ合衆国の移民の選挙に関する調査は、担当者の継続調査を2018年度に行う。前年度に引き続き,研究会での文献調査およびフィールド調査の知見を基にした議論を通じて,中心周辺,半周辺と周辺おける労働のグローバゼーション,労働のジェンダー化の質に関する分析を行う.
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