2018 Fiscal Year Research-status Report
ラテンアメリカの国際労働移動におけるジェンダー・エスニシティによる国際分業の変容
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16KT0096
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
松久 玲子 同志社大学, グローバルスタディーズ研究科, 教授 (40239075)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田沼 幸子 首都大学東京, 人文科学研究科, 准教授 (00437310)
渡辺 暁 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (20635338)
北條 ゆかり 摂南大学, 外国語学部, 教授 (40263032)
宇佐見 耕一 同志社大学, グローバル地域文化学部, 教授 (50450458)
中川 正紀 フェリス女学院大学, 文学部, 教授 (70295880)
戸田山 祐 千葉大学, 大学院社会科学研究院, 助教 (20774029)
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Project Period (FY) |
2016-07-19 – 2020-03-31
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Keywords | ラテンアメリカ / 国際労働移動 / 移民 |
Outline of Annual Research Achievements |
ラテンアメリカ域外、域内における「南」から「北」、「南」から「南」の国際労働移動を研究対象とし、ジェンダーの視点を分析枠組みに導入することにより再生産領域におけるグローバリゼーションおよびジェンダー、階層、エスニシティによる国際分業の再配置という「複数のグローバリゼーション」の実態を明らかすることを目的として2018年度は5回の現地調査を実施し計5回の研究会において情報交換を行った。 プロジェクトでは、ラテンアメリカ域外、域内の国際労働移動の事例としてメキシコからアメリカ合衆国、そしてキューバおよび南アメリカからスペインへの移民を取り上げた。2018年度はアメリカ合衆国における調査を2回、メキシコ、アルゼンチン、コロンビアでの調査を各1回行なった。調査の主なテーマとしては、ジェンダーによる移民動機の違い、女性移民のエンパワーメント、移民家事労働者に関するインタビュー調査である。また、アルゼンチンからFLACSO教授のNatacha Borgeaud-Garciandia氏を招聘し、アルゼンチンにおける有償介護労働者の抱える問題について講演を行った。 「南」から「南」へのラテンアメリカ域内の国際労働移動として、これらの調査では、家族統合の問題、新自由主義政策との関係、移民先での社会保障の問題を取り上げた。「南」から「南」への域内国際労働移動は、「南」から「北」への労働移動に見られる国際分業体制と同様の特徴が見られると同時に、「南」から「南」への労働移動ではジェンダーとナショナリティ、エスニシティによる労働市場へのさらに厳しい振り分けが行われ、不安定かつ劣悪な労働環境で働かざるを得ない状況が存在していることが明らかとなった。以上の研究成果の発表の場として『社会科学』の特集号および本の出版を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究対象範囲が広範であるために、調査結果をまとめるための時間を当初予想したよりも多く必要としている。現地調査はおおむね予定どおりに進んだが、さらに内容を深めインタビューできなかった部分を再度行うために追加調査をアメリカ合衆国の女性移民支援団体、マヤ移民の調査、およびメキシコの移民家事労働者支援組織に関して行うことを研究分担者が希望している。追加調査を完成させたうえで、ラテンアメリカの域内労働移動と域外労働移動(特にアメリカ合衆国とスペイン)の比較をグローバリゼーションと関係づけて議論する部分が完了していない。継続して研究会を行い、議論をする必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
追加調査を終えたうえで、成果をまとめるために研究会を3回程度今年度前半を中心に行う予定である。 また、研究成果を問う場として、6月に開催される日本ラテンアメリカ学会において「国境を越えるラテンアメリカの女性たち」のパネルを準備している。そこでのコメントなどを参考にしつつ、研究のまとめを行う予定である。 研究のまとめとして、研究成果をラテンアメリカの先住民の移民労働者に焦点を当てた「国際労働移動におけるエスニシティ」と女性移民労働者の問題に焦点をあてた「国際労働移動とジェンダー」の二つの分野に分けて発表する準備をしている。エスニシティに関する論考3本とアメリカ合衆国におけるラテンアメリカ系移民についての計5本の論文は学会誌に特集号として発表する予定である。また、ジェンダーに関する論考は出版を計画している。出版に関しては、各分野の担当者により、原稿を執筆中であり、また出版までに時間を要する。
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Causes of Carryover |
本プロジェクトの研究をバックアップする同志社大学人文科学研究所の部門研究が終了し、成果のとりまとめのための研究会を継続するために研究会運営費を必要とする。 日本ラテンアメリカ学会でのパネルの打ち合わせ、および追加調査の結果発表、成果として発表する予定の本の出版の打ち合わせのために3回程度の研究会を実施する予定である。 研究会参加のための旅費、運営費に使用する。 また、メキシコへの追加調査1件を研究費から措置する予定である。
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Research Products
(8 results)