2016 Fiscal Year Research-status Report
1細胞遺伝子発現解析と数理モデリングによる、多能性幹細胞の細胞間ゆらぎの解析
Project/Area Number |
16KT0139
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中村 直俊 京都大学, スーパーグローバルコース医学生命系ユニット, 特定研究員 (30554472)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 正裕 京都大学, iPS細胞研究所, 特定研究員 (40634449)
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Project Period (FY) |
2016-07-19 – 2020-03-31
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Keywords | 1細胞遺伝子発現解析 / 心筋分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者は、研究分担者の協力を得て、1細胞遺伝子発現の解析手法の新規論文を網羅的にサーベイした。tSNE (t-distributed stochastic neighborhood embedding)などの非線形次元圧縮に基づく方法を経験的に用いて、多次元のデータから重要な要素を抽出する様々な方法が工夫されている。また、サンプルごとのバッチエフェクト(測定に起因するノイズ)を除去する方法にも進展があった。しかし、本研究が目指すような、細胞のゆらぎと力学系を結びつける研究は概念的に新しく、発展途上である。ここ数年で、1細胞遺伝子発現の公開データベースがしだいに充実してきていることから、公開されているデータを組み合わせた研究も可能になっている。ただし、公開されているデータの質が必ずしも均一でないことに留意する必要はある。データの増大に伴い、解析論文自体は続々出版されているが、数理モデルという観点から見直すことで、今後新たな発見や構造の解明が期待される。
研究分担者は、心筋分化過程の1細胞発現解析の研究を進め、英文論文を投稿した。その内容の概略について和文月刊誌の「シングル遺伝子発現解析」特集に寄稿した。iPS細胞から心筋分化の過程において、1細胞遺伝子発現データ(13000遺伝子)の主成分分析により、心筋分化の軌跡を同定した。Day 0では幹細胞マーカー、Day 3, 5では中胚葉マーカー、Day 9以降では心筋細胞マーカーの発現上昇が見られた。分化後の細胞にも遺伝子発現の不均一性(ゆらぎ)が確認された。また、Day 9における「ソートなしの細胞」を主成分分析の平面に投射することで、分化の軌跡から逸脱した細胞群が発見された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度、研究代表者は、データ解析に関する新規手法の論文のサーベイを行った。データの増大に伴い、解析論文自体は続々出版されているが、数理モデルという観点から見直すことで、新たな発見や構造の解明が期待される。
また、研究分担者の研究室において、1細胞遺伝子発現の新規の実験を行うための複数の方法の開発が進んでいる。いずれも数百個の細胞数は最低確保できると考えられ、今回の細胞間不均一性の研究に支障は生じないと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度のサーベイの結果に基づき、研究代表者は数理モデルの検討に本格的に着手する。実際の細胞に不均一性として観察されるが、理論的な検討の進んでいない、外在性ノイズをうまく取り入れる方法が課題である。
また、研究代表者は研究分担者と相談し、現予算で行いうる新たな細胞実験について複数、具体的に検討する。シミュレーションを用いて、得られると期待される結果を予想する。
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Causes of Carryover |
本格的な1細胞遺伝子発現実験を次年度以降に計画している。この分野の技術の進展は非常に速く、より最新の、精度の高い実験方法を用いたほうが本研究の趣旨にかなうと考えられるので、実験用の消耗品の一部の購入を延期し、翌年度以降に詳細を固めてから改めて購入を検討することにした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
翌年度以降、研究代表者と研究分担者の合議のもとに、本研究の趣旨にかなう最適な実験計画を立案し、計画に基づいて実験用の消耗品を購入する予定である。
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Research Products
(2 results)