2009 Fiscal Year Annual Research Report
発熱型荷電交換反応による時間的領域でのスピン・アイソスピン応答
Project/Area Number |
17002003
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
酒井 英行 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 教授 (90030030)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢向 謙太郎 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教 (50361572)
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Keywords | スピン・アイソスピン応答 / 時間領域 / 不安定核 / 高分解能 / 磁気スペクトロメータ / 二重ベータ崩壊 / 分散整合 / スピン単極巨大共鳴 |
Research Abstract |
不安定核ビームによって誘起される発熱型荷電交換反応を用いて時間領域における原子核のスピン・アイソスピン応答研究を行い、荷電スピン単極共鳴と二重ガモフテラー状態の性質を明らかにするのが、本研究の目的である。平成21年度は以下の研究を行った。 ●SHARAQスペクトロメータと分散整合ビームラインの性能評価実験:250MeV/Aの^<14>Nの一次ビームにより不安定核二次ビーム^<12>N,^<12>Bを製造し、実際のビームによる全系のテスト実験に成功した。ビームラインとSHARAQのイオン光学的データを取得し、分散整合の総合性能評価を行った。その結果一次ビームについては全系でp/△p~8,100の運動量分解能を得た。目標とした分解能(14,00)が得られる見通しがたった。 ●900MeVトリチウム(t)ビームによるb^+型荷電ベクトルスピン単極(IVSM)共鳴状態の探索実験:SHARAQスペクトロメータによる最初の実験として、^<90>Zr,^<208>Pb(t,3He)反応測定を遂行した。その結果ベータ+IVSM共鳴の存在を世界で初めて確認することができた。これは、2つの国際シンポジウムと日本物理学会で発表した。現在詳細解析を行っている。(論文準備中) ●二重β崩壊核の中間状態の微視的構造研究:二重β崩壊核^<48>Caならびに^<116>Cdについて中間状態核へのガモフ・テラー遷移測定に成功した。その結果、高励起状態へのβ+ガモフテラー遷移が極めて重要であることを世界で初めて明らかにした。^<48>Caの結果については、米国物理学会誌Phys.Rev.Lett.に掲載された。これはニュートリノ質量を決める際に必要不可欠な核行列要素の核構造計算の較正に役立つものである。 ●ガモフテラー遷移強度の絶対値を求める際に必要となる単位断面積の測定を行った。結果は、米国物理学会誌Phys.Rev.に掲載された。
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