2006 Fiscal Year Annual Research Report
先端ナノ材料学による原子炉鉄鋼材料の脆化・劣化機構の解明と制御・予測
Project/Area Number |
17002009
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
長谷川 雅幸 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (80005975)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永井 康介 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (10302209)
井上 耕治 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (50344718)
畠山 賢彦 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (30375109)
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Keywords | 局所電極型アトムプローブ / 陽電子消滅 / 原子炉圧力容器 / シュラウド応力腐食割れ / 格子欠陥 / ナノ析出物 |
Research Abstract |
1)原子炉圧力容器(RPV)鋼監視試験片のナノ材料解析 RPV鋼のナノ析出物の3次元アトムプローブ(3D-AP)検出効率を飛躍的に向上させるために、最新の局所電極高分解能アトムプローブ(LEAP)システムを導入し、約400倍の計数効率での観察を可能とした。このLEAP装置および最先端の陽電子消滅測定装置を用い、ナノ析出物および照射欠陥の解析を行い、以下のような新たな知見を得た。なお、我が国の学術機関としては始めて(欧米でも極めて稀れ)、商用炉の監視試験片を入手したことは、特筆すべきことである。 a)コルダーホール炉:照射線量率が極めて低いこの炉のRPV鋼では、マトリックス欠陥よりもCuナノ析出物が優先的に生成するのに対し、それよりも照射線量率が4桁高い材料試験炉での照射では、逆にCuナノ析出物よりもマトリックス欠陥が生成する。 b)ベルギーDoel-2炉:不純物Cu濃度によって、3〜20年間のCu富裕ナノ析出物や照射欠陥の形成に大きな差異がある。この間の照射による機械的性質の変化は、脆化・劣化の予測式の範囲内に収まっているものの、そのナノ組織的な機構は、Cu濃度や照射量によって大きく異なる。LEAPの導入によって粒界近傍の元素原子分布測定に成功し、C,P,Mo,Si,Mn,Asの偏析およびCuの粒界析出を示した。またCuナノ析出物については、バルクとは異なり、粒界ではMnやPなどの他元素の濃縮が起こらない。 2)モデル合金を利用したCuナノ析出物形成の基礎過程。これに関して以下の主な結果を得た。 a)モデル合金の研究では、特にMnによって、照射促進Cuナノ析出物のみでは説明できない、異常な硬化が見られる。 b)新たに開発した陽電子消滅2次元角相関や陽電子寿命一運動量相関法によって、LEAPでも観察できないような直径1nm以下のCu析出物の寸法や数密度を求めた。
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Research Products
(3 results)